バリ島駐在記「ロンボク島で消えた日本女性」

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(写真はロンボックの海岸)

 ある日本女性がロンボック出身の男性と知り合い、結婚し、子供をなした。

 女性はそれまで日本企業で働いていたときの貯金をすべて引き出し、ロンボックに土地を買い、家を建てたが、肝心の夫には職がなく、働こうという意志もなく、毎日をぶらぶらと暮らしていた。

 土地にしても、家にしても、インドネシアでは外国人の名義では入手できず、女性はやむなく男の名義で土地も家も買っていた。

 しばらくして、女性は自分の結婚が失敗であったことに気づき、子供を連れ、あるとき不意に日本に帰国してしまった。インドネシアの法律では、子共の親権は父親にあり、母親が亭主から許可を得ず、子を連れて帰国してしまったことは違法行為に当たる。

 この時点で、彼女がロンボックをあきらめ、過去のことは水に流して、日本で見つけた新しい仕事に取り組んでいれば、不幸は訪れなかっただろう。彼女はロンボックに残してきた土地と家に未練を棄てきれなかった。なにせ、それまでの自分の全財産をかけたのだし、名義は旧夫の名にはなっていても、現実に金を出したのは自分である。そのうえ、日本に帰ってきて、日本の物価の高さにあらためて驚愕しただろうし、新しい仕事とはいっても、アルバイト程度の仕事しか探せなかったであろう。

 彼女は一大決心をし、一人ロンボックに飛び、土地と家を売って、なにがしかの現金を手に入れる行動に出た。ところが、彼女の姿はロンボックから永遠に消えてしまった。

 彼女がバリのデンパサールで入国手続きをし、ロンボックに入ったところまでは解っているが、その後の足取りが掴めず、そのまま「Missing」(行方不明)ということで、警察は処理した。

 女性の親からはバリにある日本領事館に再三再四、娘の安否を気づかう電話が入り、行方を捜して欲しいという依頼があったものの、現地での捜査は地元の警察に依頼するしかなく、「Missing」のまま、今日に至っている。 (私は日本の外務省も大使館も領事館も信頼していないから、どこまで州政府に迫って、この一件の捜査を依頼したのか、不信感を拭えないでいるし、他方、インドネシアの警察のいい加減さも知っているから、本気で捜査にあたったとも思っていない。これがアメリカ人だったら、アメリカ大使館を相手にインドネシア警察も本気になって捜索したであろう)。

 当時バリに居住していた我々は、だれもが「彼女は元夫らに殺されている」こと、「人知れぬどこかに埋められていること」を想像した。

 バリ島で日本女性が殺された事件もある。すべて、金が元凶、300万円、500万円という金額は日本でなら、あっという間に消えてしまう金額だが、インドネシア人にとっては生涯をかけても手にできない膨大な金額である。そして、インドネシア人のだれもが「日本人は金を持っている」と信じて疑わない。もっとも、日本の女には年齢とは関係なく、男たちが寄ってくるから、とって食うならよりどりみどりである。身元を保証してくれている男のほかにも男をつくって遊んでいた女が嫉妬をくって殺されたという事件も過去に起こっている。


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