バリ島駐在記「豊かな国際色がテロを誘発」

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クタ
(写真はクタの海)

 国際色が豊かであるという点、バリに匹敵するリゾートといえば、プーケットくらいしか思い浮かばない。

 たとえば、ハワイを例にとっても、観光客は日本人とアメリカ人ばかりで、外国を訪れているという感覚すら希薄だ。

 バリ島に存在するホテルも、バリ人やジャワ人が所有するヴィラやコテージはあるが、世界的に名の知れたチェーンに加盟しているホテルがヌサドアにもサヌールにもクタにもウブドにもあって、それぞれの有名ホテルの大半はインドネシア華僑の所有であり、マネージメントをチェーン本部からの派遣者(ほとんどは白人)に任せている。

 来訪する客も、西欧諸国、豪州、ニュージーランド、中国、台湾、韓国、日本、シンガポール、ロシア、アメリカと幅が広く、国際色という点では群を抜いた存在。 ロシアについては、ここ10年ほど、チャーターに乗って来訪するケースが多く、大抵はビジネスのための商品を購入する人が多い。アメリカと上記したが、並列した国のなかでは、最も来島者が少ない国。理由としては、直行便がなく、グァム経由になって時間がかかる点が隘路になっている。

 旧宗主国がオランダであり、独立後は豪州、ニュージーランド、西欧からの客に育まれただけに、コーカソイドが多いのは当然だが、1994年に日本人がオーストラリア人を抜いて来島者の国別第一位になって以来、中国、韓国、シンガポールからの来客も急激に増え、国際色を一層高めることとなった。

 日本人が大挙して訪れるようになると、現地大学では、それまで英語を学ぶ生徒らのなかから日本語に切り替える生徒が増え、日本人観光客が金を落とすことが知られると、日本語を学ぶ人間がさらに増えた。

 こうした国際色の豊かさが、二度にわたるテロを誘発したことは事実だが、テロが一度はクタで、もう一度はジンバランで起こったことはテロの狙いが、国際色の豊かさにというより、コーカソイドにあることは歴然としていて、西欧や豪州からの客が好んで宿泊するクタの繁華街では日本人客はむしろ少なく、コーカソイドが圧倒的に多い。それが日本人の犠牲者がわずかだったことの理由でもある。日本人観光客の大半はヌサドア、サヌール、ウブド、若干がジンバランに宿泊する例が多い。

 結果として、現在、バリは観光客の減少に悩んでいる。むろん、ホテルによって稼働率には差があり、旅行業者の扱い人数にも差があるが、平均値としては激減という言葉がふさわしいほどの閑散ぶりである。

 「神々の島」といわれながら、なかなか神々が守ってくれない島という印象が強い。バリ人で観光業に従事している知己は「これは神々による試練」だと言ってのけたが、彼の立場を知る私には苦悶に聞こえた。とはいえ、コレラ騒ぎのとき、スハルト政権が打倒されたとき、大統領選挙のとき、いずれもこの地を訪れる人は減りはしたが、いずれのときも、しばらくすると再び観光客がバリへバリへとなびくという状況が繰り返された経緯から判断すると、2007年内には訪客が増えるのではないかと推量される。


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