バリ島駐在記「アグン山の噴火」

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アグン山とライステラス

 バリ人がジャワから退避してバリアガと呼ばれる原住民を僻地に追いやった後、ヒンドゥー教徒は原住民が信仰していた山岳信仰とともに自然への信仰(アミ二ズム)と合体して現在に至っていることは「バリ島特集」ですでに触れたとおりだが、それが「アグン山には神が宿っている」という信仰を生んだ。

 バリ人の家を訪ねると、どの家にも、アグン山に向かって石造りの塔があり、てっぺんに椅子状のものが載っている。いつアグン山から神が降りてきても、すわって頂けるように準備し、お供えも毎日欠かさない。

 アグン山にはかつてパンナム機が激突して、日本からの観光客も死んでいる。山に登るには役所からの許可が必要で、色々な注意を受ける。椎名誠の著書に「バリ島横恋慕」という本があり、アグン山に登った経験が書かれている。

 1963年というから、そう遠い過去ではないが、アグン山が爆発したことがあり、人々は神のおわす山が人々に悪さをするわけはないと、逃げようとしなかった人が数百人いて、全員、火山流に呑まれ死に至った。 キンタマーニにそびえ、バトゥール湖を造ったバトゥール山は現在でも時に噴煙を上げている活火山だが、人々は決まった日にお供えをし、山の霊を慰めている。とはいえ、1963年のアグン山での経験があるから、爆発すれば、退避する用意は整っている。「噴火時、逃避しないことは非科学的だ」というまともな意見が通るようになったというわけだ。

 アグン山の過去の爆発では、かつて日本軍が座礁させたアメリカ艦船が火砕流によって押し戻され、水面下に没したあと、艦船が格好の漁礁と化し、その後はファンダイバーのスポットの一つに変貌したこと、さらに海岸を埋める石がすべて真っ黒に変色し、火山流をかぶった跡を明瞭に語っていること、この二つが一目瞭然。場所はバリ島の西北端と古都シンガラジャとのあいである。

 山頂に達すると、内部が断崖絶壁になって、過去に爆発した跡がすさまじい眺望となっているが、東京都の2.5倍というバリ島に3,142メートルの標高をもつ山が存在すること自体、過日ブログに書いた「環太平洋火山帯」を示してあまりあるし、隣のロンボック島はバリ島より小さい規模ながら、3千7百メートルを超える山「リンジャニ(Gunung Rinjani)」を擁している。

 しかも、最近の研究者によれば、アグン山が再び爆発の様相を呈しているとの報告が州政府から出され、爆発した場合の被害が全島におよぶことを予測していると聞く。

 上の写真はアグン山とライステラス。

 下の写真は順番に、アグン山の夕日、アグン山の絶壁。一番下が、後方アグン山、手前バトゥール山とバトゥール湖。

アグン山夕日

断崖

アグン山


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