バリ島駐在記「インドネシアでのダイビングとスラウェシ島」

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バリ島

 バリ島は基本的にプランクトンが多棲する海、この地でダイビングを軸に生計を得ている人には申し訳ないが、透明度、透視度ともに、たとえば沖縄やフィリピンの海に比べたら悪い。だからこそ、以前のポストで触れたように「釣り」にはうってつけの海なのだ。

 いま、バリ島の南海域における日本漁船によるインドマグロの乱獲が問題になっているが、バリ島からジャワ、スマトラ島を経てインド洋に続く海域にはマグロが群れて回遊、日本漁船がそこらじゅうを走りまわっている。ときには、日本のマグロ船がバリに寄り、デンパサールから捕獲した冷凍マグロを築地に送りもしていた。

 バリ島でここならファンダイバーをなんとか満足させられるポイントといえば、バリ島北西部の上に存在するムンジャンガン島くらいで、ファンダイビングではなく、ダイビングを体験するという目的のためだけなら、ことさらバリの海を忌避する理由はない。

 1996年、私は数名の同行者を引率、インドネシアでも形が英語の「E」に似た特徴のある島、スラウェシ島(Sulawesi)の都市、マナドー(Kota Manado、日本人はこれを「メナード」と発音する)に行った。目的は名古屋から日本の飛行機がマナドーを往復する企画があるらしいとの情報がって、海の調査に出かけた。ほかに見せるものがないからだ。

 この海では、1997年、南部のウジュン・パンダン近海で、五人の日本人ダイバーが潜水中に行方を絶ち、ガイド役の現地人ダイバーだけが生還したというニュースがあった。海外で潜る場合、ガイドする人間をよく吟味すること、ガイド役に命を預けるようなものだから、ガイド役のダイバーがポイントに関する潮流、風、魚種、深度など知悉しているかどうかをチェックしておく必要がある。そうでないと、このような事故が後を絶たない。

 マナドーの海はダイビングで見た海のなかよりも、グラスボート上から眺めたサンゴ礁の海が抜群、透明度、透視度ともに沖縄というよりフィリピンの海に相似するものがあり、水底40メートル以上が海面から見えてしまっている。しかも、サンゴの育ちも良く、文字通り花園といった態をなし、ダイバー憧れの魚の一種、ナポレオンフィッシュがファミリーで泳ぎまわっている。明らかにバリの海を凌ぐ魅力に満ちている。とはいえ、残念ながら、日本からの直行便は計画倒れに終わっていまった。

 インドネシアに入って以来、初めて目撃した、「感動に値する海」だった。

 マナドーの人々の大半はキリスト教徒だが、ほとんどだれもが犬の肉を美味だといって、ペットで飼っている人間などは皆無。

 「赤犬がいちばん美味いって聞いてるが、どう?」

 と、私がビーチにいたご婦人に訊いてみると、

 「なにいってのよ。犬は犬だよ。毛の色が何色だろうが、同じ味だし、これ食べると体が温かくポッポとなる。アズマ(Asthma)にも効くよ」

 と応じた。「Asthma」は英語で、喘息のことだが、インドネシア人の発音では「Azma」と聞こえる。写真はバリ島全図であるが、ムンガンジャン島は左上に小さくぽつんとある島。

 バリ島でダイビング店を開いている日本女性、Tさんがこの島の周辺海域に「ガーデンイール」(海底に無数の穴があり、そこからうなぎ状の魚(チンアナゴ)が大量に首、顔を出している様子から名づけられた生物群の場所)を最初に発見した。

 ところで、ビーチにいたおばさんが別れ際に「これ、一つやるよ。このマンゴーは形は不細工だけど、不味くはないよ」と言ってくれたマンゴー、これがバリでもジャワでも味わったことのないほど美味だった。

(上の地図はバリ島)


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