アフリカの小さな国/大林公子著

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アフリカ

  「アフリカの小さな国」 大林公子

   副題:コートジヴォワールで暮らした12か月

   集英社新書  2002年3月初版

 作者はアフリカでの生活が通算で6年、本書は副題にあるコートジヴォワールという、かつて象牙海岸とかアイボリーコーストとか言われた地域の西側にある小国での生活体験を綴ったもの。また、近くには、昔々奴隷がイギリスへ、アメリカへと船で運ばれた出港の地がある。

 正直に感想を言うならば、真面目で明朗で、真摯に経験や目撃したことを書いていて、この国を知らなかった私としてはそれなりに学ぶところがありはしたが、大学の文学部卒という経歴を持つ人にしては、文章が下手で幼い印象が否めない。この評価は同じアフリカをしばしば書く曽野綾子とつい比較してしまうからかも知れない。

 「アフリカ大陸のなかでは資本主義路線を採ってきた国としては例外的な国であるにも拘わらず、1997年度の調査によれば、男性の平均寿命が46歳、女性が47歳、乳幼児の死亡率が出生千人あたり87人」というのは信じがたい数値。また、そうした国でありながら、アフリカに広く行なわれている呪術がこの国にも未だに存在することにも喫驚した。

 「日本が失ってしまったもの、とくに人情味や仲間意識がこの小国の社会には強く存在する」との主張には、全面的にとはいかないながらも納得するものがあり、作者がこの国を愛する気持ちも理解できる。

 また、エネルギーの利用量を紹介しているが、一人当たり石油換算で、コートジヴォワールでは382Kg、一方、日本は4,058Kg、一人当たりの電力消費量はこの国では174キロワット時に対し日本は7,083キロワット時、一人当たり二酸化炭素の排出量はこの国が一人当たり0.9トンに対し日本は9.3トンと、いずれの面でも日本が圧倒していることを示し、その大きな差を強調しているが、比較対象が日本であっても、西欧の先進国であっても、同じような結果が出るだろう。ただ、この国の実質的な首都はアビジャンといい、その都市におけるテレビ普及率は80%と高く、これはおそらくアフリカ大陸の大半の国を凌ぐ数値であろう。

 以上、あまり良い書評ではなかったかも知れないが、こういう人がいなかったら、コートジヴォワールなどという国を知る機会はなかったと思われる。この国が未来にわたって平和で人情味溢れる国であることを祈るばかり。


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