カンボジア綺譚/三宅一郎著

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カンボジア綺譚

「カンボジア綺譚」 三宅一郎(戦時中、プノンペン領事館員)著
帯広告:読むほどに熱帯アジアの風が頭を吹き抜ける
1994年8月5日 作品社より単行本初版  ¥1800+税

 
 カンボジアという国がヴェトナムと並んでフランスの植民地だったこと、ポルポトによる残虐な殺戮が行なわれたこと、現在でも世界で一、二を争うほど国民が貧窮していること、少女売春が法で禁じられながらも、貧困ゆえにやめられずにいること、一部の日本人が井戸を掘ってやったり、学校を建設してやったりの慈善行為をしていることなどなど、この国にまつわる諸般の事情についてはある程度知っていたために、本書により、戦時中のカンボジアを知る作者からさらに多くが学べるのではないかとの思いにけしかけられて入手した。

 ところが、本書はあくまで小説であって、旅行記でも滞在記でもなく、アンコールワットを創造したクメール文化を背景に、荒唐無稽な物語をでっちあげただけの内容であり、一読者としてはひどく落胆した。

 「読むほどに熱帯アジアの風が頭を吹き抜ける」よりも、読むほどにレベルの低い、知性の欠けた内容に辟易、半分ほど読んだところで、放り出してしまった。

 荒俣宏によるコメントとして帯広告に「二十世紀南方植民地文学の傑作」との評が出ているが、コメントした人物の頭の具合に怪訝な思いが残っただけで、詐欺に遭った気分。


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