ゴッホ「医師ガシェの肖像」の流転/シンシア・ソールツマン著

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ゴッホ


 

 「ゴッホ『医師ガシェの肖像』の流転」 シンシア・ソールツマン著 

 島田三蔵訳   文春文庫  ¥850  1999年12月文庫化初版

 原題:Portrait Of Dr.Gachet/The story of a Van Gough Masterpiece   

 ゴッホの作品のなかでも表題になっている「医師ガシェの肖像」は大戦をはさんで、作者の思惑とは無縁に、流転に継ぐ流転という運命をたどった。

 本書はゴッホの生涯と人物像のほか、家族との関係に加え、画廊とのかかわりや、絵が書かれた時代背景と場所などを詳細に追った労作。貧窮と困惑のなかで、この天才がどのような生活を送ったか、まただれが彼をバックアップしたか、しなかったかなど、ゴッホの生活全般が見えてくる。

 個人的にはゴッホの作品のなかでは「アイリス」「ひまわり」「糸杉の道」が好きだが、ゴッホ自身が、もし「あの世」というのがあるのなら、ザザビーなどのオークションで自分の作品につけられる値に仰天しているだろう。「生きていた時代、だれからも格別の評価はなかったのに」と慨嘆もしているだろう。

 ゴッホという不世出の天才画家を知りたい人には一読をお勧めする。


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