サイエンス・ナウ/立花隆著

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書評:ためいき色のブックレビュー-ナウ

  「サイエンス・ナウ」  立花隆(1940年生/評論家)

  1996年11月15日 朝日新聞社  文庫化初版  ¥740+税

 著者は知識人としては日本を代表する人物、これまでにもこの著者の作品には数冊触れてきたし、書評もしてきたけれども、本書の内容は半端な知識では歯が立たない。

 そのうえ、本書は1996年の初版で、すでに13年が経過している。科学的な状況は世界的に変化が激しく、フィールドにもよるが、ある意味で日進月歩、2009年における実態にも通用するのか否かについても、中途半端な知識をもっては判断がつかない。また、著者の守備範囲の広さには毎度ながら驚嘆する。

 とはいえ、以下に目次を記すが、この種のタイトルを冠とした内容に関心を刺激される人にとっては、目次によって読む対象を選択することも可能。

 目次

 1.電波天文学が明かす宇宙の神秘(野辺山宇宙電波観測所)

 2.バイオ産業を変えた好アルカリ菌(堀越特殊環境衛生物プロジェクト)

 3.世界発のニュートリノ天文台(東大宇宙線研究所神岡地下観測所ーカミオカンデ)

 

 4.地球環境外でいかに生きるか(閉鎖系生命維持システム)

 5.産業社会を一変させる人口蛋白質(蛋白工学研究所)

 6.極限に挑む世界一の深海潜水船(潜水調査船「しんかい6500」)

 7.超電導が可能にする夢の超特急(リニアモーターカー)

 8.人体の中に住む100兆個の細菌(腸内フローラ)

 9.究極の薄膜で作るテラヘルツ素子(半導体研究所)

10.オゾン層はどれだけ破壊されているのか(国立公害研究所)

11.実験室でできた生命素材物質(三菱化成生命科学研究所)

12.物理学の根底をゆるがした超伝導(超電導工学研究所)

13.生きている脳の中を見る(東大医学部放射線科)

14.ヘリカル型核融合とレーザー核融合(核融合科学研究所・大阪大レーザー核融合研究センター)

15.分子レベルで解明される生理現象(岡崎国立共同研究機構生理学研究所)

16.物質が全て消滅する相対論的世界(高エネルギー物理学研究所)

 目次のどれを採っても、内容にはエキスが豊富に積み込まれ、一々紹介しているとエンドレスになることを予測、本ブログでは以上の紹介にとどめる。

 それにしても、この著者の知識は「知識への渇望」がまずあって、そこからの芽生えが知識量を人一倍のスピードで増加しているのではないかと想像させるほど、読書量はもとより、その集中力、新しい状況に対応していく努力には抜群のものがあり、日本の生んだ啓蒙者の一人であることに疑いはない。

 著者の留まることを知らぬ知識欲には、ただただ圧倒される。


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