ザーヒル/パウロ・コエーリョ著

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zahir

「ザーヒル」 パウロ・コエーリョ(Paulo Coelho、1947年、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ生まれ)著
原題:O Zahir
訳者:旦敬介
2006年1月、角川書店より単行本刊行
2009年2月25日、角川書店より文庫化初版 ¥743+税

 

 ブラジル人の作家がどのように「愛」を語るのかに興味があって、本書を入手した。ことに、本書は作者の半自伝的な小説だという梗概が入手を躊躇させなかった。

 読み始めてすぐ、いきなりの違和感に胸がふさがれる。

 少し読んでは眠気に襲われ、どこまで読んだかが判らなくなりが繰り返され、回避策として斜めに読むこととし、ようやく読了に至った。

 ブラジルでは文学でメシは食えないそうで、本書の内容もフランスのパリが舞台ながら、中東のカザフスタンが物語の最終の地となる。

 「ザーヒル」という言葉はアラビア語で、「目に見える」「そこに在る」「気づかずにすますことができない」という意味らしい。ブラジル人がアラビア語の冠を本書につけた意味もよく解らない。

 テーマからずれた話、議論に勝つための議論、必然性のない説明などで埋まった内容に限りない倦怠と嫌悪を覚え、「何様ですか?」と問いたくなるような、人生の深遠を説いているかのような、エゴイスティックで押しつけがましい饒舌に吐き気をもよおしたが、一方で、これほど面白くない本に出遭うこと自体が稀な体験であることにも気づいた。

 と同時に、この本を翻訳した人の苦労が偲ばれもした。

 あるいは、単に、作者との相性が悪いだけなのかも知れないし、私に理解力が欠けているだけなのかも知れない。


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