トンデモ国家、中国の驚くべき正体/陳恵運著

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「トンデモ国家、中国の驚くべき正体」
陳恵運(1948年上海に生まれ、40歳代で日本に帰化、現在、日中協会会長)著
副題:偽食品、偽工事、腐敗、不正のオンパレード
2006年9月  飛鳥新社より「わが祖国、中国の悲惨な真実」とのタイトルで単行本の出版
2008年1月  ゴマ・ブックス社より文庫化初版

 

 中国に関しては、本ブログに数回にわたり、社会時評として思いつくことを書いてきたし、書籍の書評(2007年8月14日に中国人の書いた「大地の慟哭」など)も行ってきたが、本書はそうした私の思惑や、本から得た断片的な知識を繋ぎ合わせてくれたばかりでなく、欠落を補い、中国生まれながら帰化した人ならではの遠慮会釈のない姿勢を堅持、冷静に、かつ信念にも裏打ちされ、中国の真実を、あらゆる問題を余すところなく書ききった一書。

 以上が書評、以下は備忘録。(   )内は私の意見。

1.1959年ー1961年の3年間に大規模な旱魃で数千万人が餓死したことを中国政府は国民に知らせず、作者は日本に来て初めてその事実を知り、驚愕した。中国共産党政府はメディア統制をしているため、自由な報道が許されていない。(メディアに自由を許している日本だって、メディアの在り方には多くの問題がある)。

2.2005年までに外資系企業の中国進出は55万2942社に増えた。(中国政府や従業員の汚い手口に幻滅して他の国に移転した企業もある。かつて、日本の某不動産会社が中国のあるところにホテルを建設し、旅行業社の人間に支配人として出向したもらったのだが、ホテルの備品や食材のありとあらゆるものが連日にわたって盗まれたという話しを聞いた。失せものは中国人従業員の家に在ったり、従業員の親戚の家に在ったりし、手に負えないと嘆いていたのが思い出される)。

3.経済成長とともに道徳心は地に落ち、人々は拝金主義に陥り、指導部も末端組織も腐敗の淵に沈んでいる。(立場を利用してのアンダーテーブルなどは日常茶飯事。とくに、地方自治体のトップに賄賂、癒着がひどい。尤も、日本を含め、どこの国も「わが国には賄賂のカケラもない」と言いきれる国はない)。

4.2005年の1年間だけで、高級幹部(国家公務員)による横領、収賄、汚職の容疑者の数は4万人以上。

5.毛沢東時代、売春、不倫ともに禁じられていたが、現在、中国の売春婦は数千万人、役人の腐敗と結びついているため、撲滅は不可能。(毛沢東が生来の女好きで、恒常的にとっかえひっかえ若い女を傍に置いていた事実について、作者は触れていない)。

6.犯罪がバレて海外に逃亡した役人は4千人にのぼり、持ち逃げされた金額は500億ドルを超える。うち230人が引き渡されたが、司法協力のない国への逃亡者を送還してもらうことはできず、2005年になって、中国政府は司法を協力しあう「国連反腐敗公約」の批准を正式に決め、発効した。

7.学者や作家による論文や書籍からの盗作、偽造は枚挙に暇がない。近年だけでも、500件ほどが摘発されている。中国は長期にわたり著作権法を知らず、コピーすることに罪悪感を持たない。1992年に初めて、万国著作権条約に加入したが、それでも過去の悪習は継続している。学者は学歴さえ詐称するし、データの捏造、論文盗作などの行為を平然と行う。中国の学術界の腐敗は世界でも稀なほど酷い。

 知的所有権の侵害について語ると、中国人は「困るのは西側で、自分たちには都合がいい」という理屈を口にし、ときにこれが莫大な利益を生むから、海外からの批判にも、どく吹く風と、侵害に対する罪の意識は現在に至るも、一向に芽生えない。

8.中国は法治国家ではなく、「人治」の国。腐敗のひろがりはいくら厳罰に処しても、止められない。悪習の根源にあるのは、鄧小平の「鼠を取る猫はどんな色の猫も良い猫だ」との発言と、「豊かになれる人から豊かさを求めよう」との発言にあり、これが「金を儲けることはいいことだ」との認識を生み、「どんな手を使っても」に発展してしまった。

9.2003年の世界の石炭生産量は50億トン、炭鉱事故で死亡した労働者は8千人前後、うち中国人死亡者が6千人余で、世界の80%以上を占めている。農村からの出稼ぎ労働者を、過酷な環境のなかで働かせたための結果である。炭鉱経営者は安全対策、労働保障を全く考えていない。たとえ中央から指示があっても、無視する。「法治」より「人治」を優先していることが中央政府の権威を失墜させている。農村部からの労働者がありつける仕事はいわゆる「3K仕事」のみ。

 (それでも人口は一向に減らない。人権という概念が育つ土壌にはならない。人間の命はあまりにも安い)。

10.中国の若者の対日感情が悪いのは、中国政府が両国の関係の実態を正直に報道しないからで、日本政府が過去に中国侵略の非を認め、17回も公式に謝罪しているが、この事実を意図的に国民に報せず、学者すらこの事実を知らない。一環して、日本を憎む方向に、国民を誘導している。

 (中国をいじめたのは日本だけではなく、イギリスやロシアは日本より酷いいじめをやっている。アヘン戦争を二度にわたって仕掛け、阿片窟を中国の至るところにつくって中国人を廃人にしようと企み、香港を長期にわたって割譲させたのはイギリスである)。

11.中国が経済発展したといっても、そこには著作権の侵害、技術の盗作、安い労働力に依存してのことで、国内問題は限りなく存在し、社会格差は広がるばかり。(GDPが日本を抜いて世界第二位になったところで、一人あたりのGDPは依然として中国は日本人の10の1である。尤も、元の為替レートが切り上げられれば差は縮まる。ただし、産業廃棄物の処理だけは適正に行なって欲しい)。

12.中国に戸籍法はあるが、出身地により農村戸籍と都会戸籍とに厳格に区分されていて、転籍は不可能。つまりは、居住する場所を自由に選ぶことができない。農村から都会に出稼ぎに行けるようになったのは改革解放以後のことだが、雇用条件は都市住民よりはるかに低く、福祉制度は全くないし、雇用期間の保証もない。そこには経営者によるピンはね、残業の強制、給料の支払い遅延、プライバシーの侵害、人権侵害など、日常茶飯事。現実に、数千万人が職を探しているほか、農村には2億人以上の労働者が余っている。代替はいくらでも存在する実態が失業圧力となっているため、劣悪な労働条件や環境に耐えるほかはないのが実情。

 企業側の違法行為のうち明るみに出るのは全体の10%程度、90%は闇の中。企業を監督すべき地方政府は企業の違法行為を監視する立場にありながら、企業から賄賂をとり、労働者搾取に加担している。(市民をその居住地から建設業者の希望に沿って強制大挙を強いるなど、これも日常茶飯事、これに警察までもが協力するという図式がここ数年まかり通っている)。

13.「一人っ子政策」の発令後、登録しない子供が増え、法律上存在しない人間が8千万人いると言われる。

14.中国の経済成長は年率で先進諸国を上回るスピードで向上したが、裏を返せば、社会インフラ、教育施設、医療衛生、産業廃棄物のまともな処理、社会福祉、就職保障、文化面での底上げなど、国民生活と密接な関係をもつ諸分野が犠牲にされた結果の数値に過ぎない。

 教育費も医療費も農村部の人間が負担するには、あまりに高い。お金を支払えない人は病気になっても、病院は診療を拒否する。(発展途上国並みの実態)。都市部ですら、44.8%が、農村部では79.1%が健康保険に加入していない。国はこれに対し、何の措置も講じていない。(アメリカには健康保険制度そのものがなく、医療費は日本人でも呆気にとられるほど高い)。

15.電化製品、自動車、食材、不動産、海外旅行など恵まれた生活をしているのは都市部に居住する人だけで、全体の20%。中国の都会だけ観光して帰る外国人はそのイメージだけだから、中国を誤解する。

16.政府からの医療予算が削減されているため、病院経営者は破綻を防ぐため、病人に不必要な検査をしたり、余計な治療をしたり、要らない薬剤を与えたりして不当利益を得る必要に迫られている。カルテの偽造、もみ消しなどを行い、証拠の隠滅を図るのが常習化。「白衣の天使」が「白衣の悪魔」に変貌している。

17.薬剤メーカーも納入させてもらうためにリベートを払う習慣がある。リベートは薬の価格に反映される。政府が薬剤価格を抑えるよう指示しても、薬のネーミングを変え、「新薬である」と虚偽の申請を行うから、いたちごっことなり、政府もなす術がないまま放擲されている。

 2004年に申請された新薬は1万種余あったが、ほとんどは同じ薬を外見だけ変えただけのシロモノ。薬剤を監督、検査登録を担う管理局は存在するが、メーカーは事前に政府機関の役人や審査の専門家を顧問にしたり、賄賂を渡したりして、審査を簡単にくぐってしまう。(医師や大学の教授が国際会議に参加する旅費を薬剤メーカーが負担したり、リベートを貰ったりは、日本でも行われている)。

 WHOによる2000年の調査では、医療に関し、加入国191のうち、中国のレベルは188位。

18.2002年の肉の摂取量を国別にみると、韓国は1人あたり144.7グラム、日本は127.9グラム、中国は152.3グラム。逆に緑黄色野菜の摂取量は中国が年々減少し、食生活の変化による健康問題は新たな悩みの種となっている。2006年の公表統計では、癌が死因のトップ、脳血管病、心臓病、高脂血症、糖尿病、脳梗塞、心筋梗塞、直腸癌などが顕著になった。高血圧や骨粗鬆症などはすでに国民病となっている。

 皮肉なことに、都会で裕福に暮らす若者が死に至るケースが増え、「富裕病」と命名されている。栄養バランスについての知識が中国人一般に欠落している。

19.世界の工場になった中国は汚染問題がますます深刻になり、酸性雨をはじめ、7割の河川の水質変化、砂嵐、排ガス、化学物質汚染が中国人を冒しはじめている。上海の空気にはガソリンと排ガスの強烈な臭いが充満。北京市内の空気はさらにひどく世界一劣悪で、青空が見える日はほとんどない。ために、呼吸器系統の疾病は中国人の死因の4番目となり、なお増加傾向にある。

 (春になると、西側の荒地から黄砂が飛び、北京の街頭には10センチもの砂が積もるというが、黄砂は日本の関東まで飛んでくるようになっている。こうした自然環境の変化は中国側の経済活動や緑化運動との関係もあるが、最近は経済的な指向が国土の汚染を上回る傾向が強く、かつての日本の「イタイイタイ病」や「アスベストによる呼吸器障害」などを生んだ過程を中国が踏みつつあるように思われる)。

20.中国の発電は火力発電を中心として、工業、農業の用途を問わず、石油と石炭の燃焼によってエネルギーを提供。ガスの大量排気は免れず、酸性雨の被害は世界三代地域の一つになっており、酸性雨面積はすでに200万平方キロメートルに達している。結果として、森林の成長を抑制してしまい、魚類を死滅させ、農作物を枯死させ、人間の健康にも危害を及ぼしている。

 一般の中国人は汚染された河川からの水を飲料水として使っている。政府が河川沿いに林立する工場に廃棄物の垂れ流しの禁止通達を出したが、これに従わない工場が多く、効果をあげていない。中央も地方も、政府は役人を含め、企業ともども、汚染に対して無頓着、私欲のためには国民の健康などにはかまっていられないという実態が中国最大の悲劇。

 工場による事故が起きても、これを隠蔽する姿勢が地方自治体にある。尿素工場でアンモニア水を河川に流したり、ある工場では重金属カドミウムを大量に流し、問題となり、摘発されはしたが、僅かな罰金を払うだけで、工場の操業にダメージはない。

 汚染水を飲料に使っていたある省では、癌死亡率が20%、1996年から2000年には34.2%、2002年には55.6%に達した。

 21.2000年の統計では、260万平方キロメートルが砂漠化し、農耕地の総面積をはるかに超え、中国全土の27%を占めている。砂漠化は毎年2460平方キロメートルのスピードで進行、2006年には中国の西北地区にある新疆ウィグル自治区では総面積の47%が砂漠化し、モンゴル自治区では総面積の47%に達した。砂漠化の結果、連鎖的に起きたのが砂嵐。

 2002年、北京で発生した砂嵐は可視範囲がわずか100メートルに狭まり、トータル3万トンの砂が降った。北京の人口で割ると、一人あたり3キロに相当。2006年には北京に30万トン以上の砂が降り積もり、日本のTVでも放映された。北京の西北70キロに燕山があり、その山麓には100ヘクタールの砂漠が存在する。これを観光客誘致に使おうと、過度な開発が行われ、草原が砂漠と化した。北京がいずれ砂に埋もれる日がやってくるかも知れない。

22.森林の伐採は洪水を招来している。長江流域の180万平方キロメートルの土地は20%が土石の流出。毎年24億トンの表土が失われ、上流から5億トンの土と砂が東海に流れこみ、ために河床が隆起し、洪水が起きると、隆起部分が流れを遮断してしまい、氾濫に結果する。1998年の夏、大雨が降り続き、40年ぶりの大水害となった。500万棟の建物が倒壊、2000ヘクタールの土地が水没、1億人が被害を受け、1320人が死亡した。損失は日本円で2000億円に達した。

 堤防にせよ、ダムにせよ、必ず手抜き工事があり、国の出資金が横領されたり、別の工事に流用されたりが頻繁に起こる。施工する会社は予め出した賄賂分を取り戻すために、手抜きをやるという図式が定着。鉄筋を細いものに換えてしまう、鉄筋の本数を減らす、質の悪いセメントを使うなどの手法が採られている。

 (日本の建設業社も談合、手抜き、政界との癒着など、同列にあり、韓国も例外ではない。建設業のみならず、色んな企業が談合と手を切れず、日本の業者も摘発対象になることが多い。人間は悪行とは手を切れない)。

23.最近になって、中国政府は初めて農民に税金免除を決定したが、これは農民による暴動を危惧しての措置。

24.多くの企業家、政府役人は自ら不正を働いているという意識があるため、入手した金は外国の家族や親類の口座に香港の銀行経由で振り込んでいる。

25.食材が安全か否か、中国人自身が判らず、悲鳴をあげているのが現実。

26.毛沢東と共産党は中国を統治するために、鎮圧、大躍進、文化大革命などの活動過程において、中国全土で少なくとも7千万人を犠牲にしている。こうした事実は歴史認識のなかにない。歴史は常に捏造される。

27.清国時代、中国はシベリアを含む150平方キロメートル近くの国土をロシアに割譲した。レーニンは不平等条約として、返還を宣言したが、スターリンがレーニンの宣言をくつがえし、毛沢東は国土の返還を執拗に迫ったが、後代の江沢民(現主席の前任)はこの土地をロシアの領土として認め、プーチンと調印してしまった。江沢民は「売国奴」と言っていい。

 (該当する土地はアムール河以南カムチャッカにいたるまでの領土であるが、中国がこういうことをやるから、ロシアは日本の北方四島もなかなか返そうとはしない。中国は中国で、そのような謙譲的な領土割愛をするくせに、日本が相手だと、資源が海底に眠っているとの報道があって以降、「尖閣諸島」「北方四島」に関し、狡猾で、しつこい)。

28.北京オリンピック時にも行われたが、政府による土地強制収容、強制退去の指示が恒常的にある。富豪が関係機関のボスに賄賂をばらまき、一等地に住む人間を「都市開発」という名目のもとに、立ち退きを迫り、裁判を起こしても、裁判官自身が賄賂の受領者であって、居住者は泣く泣く立ち退かざるを得ないという実情がある。富豪は庶民の犠牲のもとに、さらに富を増すという醜悪な実態。

29.中国共産党は過去の古い伝統の破壊を好んで行う。これまで、多くの文化財や遺跡が壊され、近代ビルに形を変えてしまった。史跡に対する無神経さは言語に絶する。

30.警察は金さえ出せば、ヤクザでも守る。警察官が盗難車の販売にかかわる事件すら起きた。スリ集団と結託し、盗んだ金は山分けにした警察官もいた。無実の人間を残忍な暴力をふるって自白を強い、有罪にしたり、罰金をとったりも日常茶飯のこと。被疑者が女性なら、衣服を剥がし、強姦にまでおよぶ。

 腐敗のひろがりは党幹部、役人、商人、医師、警官、検事、裁判官にまで及んでいる。裁判官は権限を悪用し、原告、被告双方を食いものにする。2003年から2005年のあいだ、司法を掌握する裁判官、6,700人が摘発された。

31.中国政府は自由市場で自らの力を誇示する限り、国際ルールを遵守し、国民に対して正しい報道を行い、国民をきちんと教育し、野蛮な反文明行為を慎む、大人としての姿勢が求められる。また、そうでなかったら、中国はいずれ破滅への道を歩むことになるだろう。

 国土と水系の破壊は子孫の未来に暗雲をもたすだろう。ひょっとすると、絶滅という最悪のシナリオになるかも知れない。(多くの中国人富裕者が日本国内の森林を購入する意向を持っているし、現実に売買がなされもしている。外国人に日本の土地の所有者としての権利を与えるのは法的にどうかと思う)。

 作者は生を享けた祖国が少しでも、先進国並みの常識をもち、国際社会で当たり前のマナーを示し、国民を国民らしく平等に扱う国になってもらいたいとの一心で、本書を綴ったという。

 ただ、中国の産業廃棄物の垂れ流しが河川を下り、海に排出された結果、近隣諸国にまでその悪影響が及んでいる事実には触れていない。同じことは、東側にある国々に黄砂が降ってくる現実への言及もないことは、それなりに残念。

 中国は昔から世界各地に移民を行い、居住させ、経済的に立ち行くために必死に働いてきたという歴史をもち、そういう移民を総称して「華僑」と呼ぶ。華僑ら相互の経済協力は日本人には想像の域を超えるほどの連携をなしており、世界を網羅するネットワークが華僑同士だれにでも恒常的に利用可能になっている事実を、私はインドネシアにいたときに学んだ。ニューヨークにいたときも、かれらの自己主張の強さ、相互協力の強靭さには圧倒されるものを感じた。日本人が海外に出向滞在しても、日本人同士だからといって協力しあう図にはお目にかかったことがない。


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