ニッポン異国紀行/石井光太著

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「ニッポン異国紀行」 石井光太(1977年生)著
副題:在日外国人のカネ、性愛、死
2012年1月10日 NHK出版より新書初版
¥860+税

 

 本書は日本国内で暮らす外国人、推定約200万人強を軸に、それぞれがどういう暮らしをし、どう生計を立て、どのような過酷のなかで生きているかに焦点を充てた内容。

 以下は、私の興味を惹かれた部分だけを記しておく。

 都内には40万人強がいるが、死亡者は全体で1年間に6千人。国籍による葬儀の違いに配慮しつつ、死体の腐敗防止に静脈から血液を抜き取り、動脈へ腐敗防止剤を注入する。これは「エンバーミング」という名の技術で、戦時にヨーロッパで考案工夫された。

 イスラム圏から日本に来て何年も働いていた男が死んだら、その男の遺体を本国に送り返すだけで、100万円はかかる。遺体は柩に入れられ、客が乗っている飛行機の下段に客が預けた荷と一緒に置かれ、運ばれる。遺体搬送にあたって航空会社が必要とするのは(1)病院発行の死亡診断書、(2)故人のパスポート、(3)受け入れ国の許可書、(4)梱包内容証明書、(5)遺体受け取り人の連絡先、(6)エンバーミング証明書である。

 出稼ぎ労働者の場合、当人が費用負担するのは不可能。仲間や友人が少しずつカンパして費用をかき集めるのが一般的。

 欧米でも、土地不足や衛生の面から土葬でなく火葬を許容する傾向が高まっている。火葬を指示する国はスイスが72%、イギリス71%、ドイツ4%、アメリカ25%。

 多磨霊園の外国人用スペースにイスラム教徒の墓がある。イスラム系は土葬が原則だが、墓参りの習慣もないし、墓に墓標のようなものすらない。日本には山梨にイスラム霊園があるが、土地に限りがあるため、一体目は4メートルの深さに埋めるが、確保した土地全体を使いきると、次からは一番古い一体目を埋めた場所から今度は深さ3メートルに埋めていくという手法を採用している。イスラム教徒に「墓のオバケ」の話をしてもかれらは全く信じないし、そういう話題がそもそもない。

 リーマンショック前までは、日本の都会には韓国人、フィリピン人、中国人、タイ人らの風俗営業がわんさとあった。現今、客の激減にあわせ、かれらの店も激減している。

 日本人ホームレスの裏には常にヤクザが存在するが、生活保護狙いであり、ヤクザもそれだけ追い詰められていることを示している。

 発展途上国が大量の日本車中古を輸入する背景には、当事国で新車として売られる日本車が日本人相手に日本で売られる日本車に比べ、手抜きが多く、使われている素材の質が悪いから。高い値段では買えないという現地の事情を知ればこその工夫でもある。

 在日外国人にとって最大の悩みは医療。(これは日本人がアメリカあたりで突発的に病気になった場合と同じレベルの問題で、保険が有効でない以上、医療費はバカ高くなる)。

 読後の印象としては、来日する外国人の大半が買春、それを証拠だてるように、バブル以降売春婦が減っている。ソ連邦崩壊後はロシア女性まで日本滞在者が増えている。


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