ニュートリノの夢/小柴昌俊著

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ニュートリノの夢

「ニュートリノの夢」
小柴昌俊(1926年生/東大名誉教授、日本学士院会員)著
2010年1月20日 岩波より新書初版  ¥740+税

 
 1987年2月23日、16万光年離れた大マゼラン雲で爆発した超新星が潰れて吐き出した中性子のかたまりがニュートリノであり、筆者が浜松ホトニクス(一部上場企業)などの協力を得て神岡に設置した「カミオカンデ」が11個の信号を捉えたことによりノーベル賞受賞の栄誉に輝いたことは周知のことだが、本書はノーベル賞に到達するまでの経緯、関係した内外の学者や企業人の紹介にはじまって、物理学の可能性についてまでを語った内容。エッセイではあっても、学術書ではない。

 同じ時期、イタリア、ソ連グループがモンブラン山中のトンネル内に設置した装置でカミオカンデよりも4時間以上も前に5個の信号を捕らえたという発表をしていたという話は初耳だったが、IBMの支援を受け資金的に余裕のある装置をつくってニュートリノ信号を待っていたカリフォルニア大学の教授が「カミオカンデが捕えた信号は当所でも捉えているが、モンブランで捉えたという信号は当所では捉えていない」という論文発表をしてくれたおかげで、著者の論文への評価が決定的なものになったという。

 本書からは著者の人間性のもつ破天荒さにも温情の深さにも触れることができ、楽しい一冊であったことを記しておく。


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