ネコはどうしてわがままか/日高敏隆著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ネコはどうしてわがままか
「ネコはどうしてわがままか」
日高敏隆(1930年生/動物学者)著
2008年6月1日 新潮社より文庫化初版
¥400+税

 
 本書はタイトルの「ネコはどうしてわがままか」との主題とは裏腹に、私たちの生活圏から遠くないところに生息する昆虫類、爬虫類、鳥、両生類、哺乳類などを数多く採り上げて、それぞれに4、5ページという短い解説をし、必ずしも「ネコ」に多くのページを割いているわけではない。

 ネコを知りたくて入手したから、初めは騙された感じをもちながら読んでいるうちに、これだけ多くの生物種を簡単明瞭に説明する書に遭遇したことはなく、それなりに楽しめる内容になっていることで満足させられてしまった。

 たとえば、「ヘビは足も手も棄てた形をしているが、これはある意味で『進化の究極の姿形』を示している」という見方に感銘を受けたし、さらには、ムカデとヤスデの相違を、「ムカデは肉食で他の虫に咬みつき、毒液を注入してマヒさせて相手を食うが、ヤスデは草食性で危険を感じると体をまるくする平和主義者でありながら、ヤスデもその皮膚に有酸カリ性の毒をもち、野鳥も蟻も寄せつけない。ところが、亜熱帯地域では、ホタルがヤスデを専門に食べる。蟻はヤスデを捕らえると、体節を外してしまい、有毒の皮膚を残して体の中身だけを食べる」などという説明には子供の頃に見慣れた生き物ながら、初めての知見に感激。

 後半は「すねる」「たしかめる」「待つ」「気取る」「おちこむ」「えらぶ」「受ける」「誇る」「迷う」「耐える」などという小タイトルのもとで、アングルを変え、小動物に関する解説を続け、読み手を飽きさせない。

 ネコだけに的を絞っての知識を期待する読者をがっかりさせはするが、多くの小動物をいっぺんに知りたい読者には愉しい作品。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ