バンコクで外こもり/皿井タレー著

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「バンコクで外こもり」  皿井タレー

 副題:あなたにもできるユル気持ちいい海外逃避生活

 2010年2月18日 河出書房より単行本初版 ¥1500+税

 

 著者は1996年にタイに仕事で赴任したものの、5年後に退職し、そのままバンコックでフリーの生活をはじめ、「タイ通」を冠とするライターの仕事を始めた人物。

 タイトルの「外こもり」とは、帯広告にもある通リ、「未曾有の不景気に見舞われた日本で、シビアな競争社会から脱落した生真面目で不器用な人々がバンコックの安宿に沈没している人」のことをいう。「せわしない日本社会を一時的に離脱して、ゆるゆるとバンコックで日々を過ごしつつ、人生のリセット&リスタートをうかがうプチ・ロングバケーション」と言い換えてもいいらしい。

 現在、私の甥はシンガポールでレストラン・オープン、つまりは和食展開の役割を担っているが、昨年は香港で新しい店を出し、一昨年まではバンコックで3店舗を開設したため、バンコックは身近に感ずる外国だが、私が最後にこの国を訪れたのはニ昔以上以前のことで、ほとんど話しが通じない。ただ、同じ東南アジアを歩いた経験では、タイは比較的穏やかな国民性だったという記憶は鮮明にある。

(それが政権のことであそこまで争うことになっていることが信じられない)。ちなみに、甥っ子は、私が助言したこともあり、タイ語の習得に熱心で、その甲斐があってか、彼がオープンした店に雇用した女性と意気投合し、親にも会って、将来を約束したと聞いたのもつい最近のことだ。

 確かに、著者が言うように、日本では定職に就くことが難しく、この日本社会の現実についていけないという人が日本で得た僅かな蓄えを懐に、物価の安いバンコックに住み着いて、ひたすらダラダラ過ごす滞在スタイルにはネガティブといえばネガティブかも知れないが、それなりの有意義な時間の消化の仕方があるような気がするし、そうした生活のあり方にケチをつけるより、むしろ羨望を禁じえない。

 著者によれば、最近では年金を携えて海を渡りタイに居座って精一杯だれた生活を送り、快楽をむさぼることを目的とする日本の老人がかなりの数で存在するらしい。

 また、若者は蓄えが無くなれば、いったん帰国してパートタイムでもなんでもして、お金を貯め、再びタイにやって来る、二度、三度とやって来る若者もいるそうだ。

 バンコック長期滞在の日本人は数万人いるという。ただ、途上国に共通したことだが、タイだけでなく、ロシアにしろ、おそらく中国でも、インドネシアでも、マレーシアでも、犬に狂犬病の注射を打たない国が多く、噛まれると命がけになることは知っておいたほうがいい。このことは著者も強調している。

 バンコックにすでに相当期間を過ごしている著者は市内のマッサージ店、ゲーム機店、DVD店、漫画喫茶、インターネット・カフェ、フィギュア専門店、エロビデオ店、コスプレイベント、蝋人形館なども紹介、さすがと思へるほど知識が充実し、かつ多彩。

 ただ、途上国は物価が安い、性的処理も安く達成できるなどメリットは多いだろうが、停電が少なくなく、クーラーが在っても動かないなどということが安宿に泊まっていると頻繁に起こる。高級ホテルはそれぞれ自家発電機を用意しているので問題はないが。

 タイにも、現地人用と外国人用のニつの料金が設定されているそうだが、インドネシアのバリ島などでは、(1)日本人用、(2)白人用 (3)中国・韓国人用、(4)現地人用と、あらゆる品物に四種類のプライスがあった。いうまでもなく、日本人用価格が最も高い。 とはいえ、肝心の日本人自身は自分たちが最も高値のものを買わされているという意識はない。日本人は自国の物価に比較する癖があるからだが、日本の物価より高い国などあるわけのないことを自覚していない。(おそらく、現在では韓国人も中国人も日本人と同じプライスで買わされているだろう)>

 著者とは異なる考えで異国に住み、仕事を探す人も、実は、増えている。物価が安く、住居費も光熱費も安く、そういう国で日本人を希望する企業があり、多少の英語ができれば、雇用へと結果するケースもある。

 


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2 Responses to “バンコクで外こもり/皿井タレー著”

  1. 「日本を降りる若者たち」(下川裕冶)という本も面白いですよ。
    ネガティブな本ですが。。。

  2. kirara★bali より:

    高値だったとしても、日本人は安いと思っちゃう・・・(; ̄ー ̄A
    ある日、ランチを現地人に頼んで、
    お店からテイクアウトしてもらったら、
    半分以下の値段でしたっ!!

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