ファーブル昆虫記2 狩りをするハチ/ジャン・アンリ・ファーブル著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「ファーブル昆虫記2:狩りをする蜂」
ジャン=アンリ・ファーブル著
奥本大三郎訳、編集
集英社文庫  1996年5月文庫化初版

 

 「同1」は2007年12月7日に書評しているから、半年ぶりのファーブル昆虫記ということになるが、この手の仕事を完遂させるには、生態への執拗な実験のくりかえし、根気が良く、手抜きのない観察の継続、対象への尽きない関心、そういう精神が欠落したら、本書は完成には至らなかったであろうことをつくづく感じさせられた。

 親蜂が生殖を成功させるために、狩りをするとき、蜂は決して相手を殺してしまうことはなく、麻酔を相手の体に打ち込んで、動きを止め、抵抗を封ずるだけで、そうしておくことによって、相手の体に産みつけた卵が孵化したあと、新鮮な、しかも暴れない相手をエサにすることができる。殺してしまったら、エサが腐敗して、自分の子が育たないからだ。しかも、その射し方も、エサとなる対象によって、変化するというから、大変な本能というしかない。

 蜂の記憶力、帰巣本能に関し、ファーブルとダーウィンとの間には書簡の往復があり、一つめは、猫を袋のなかに入れたうえでぐるぐる回して放擲すると、方向を失うから、同じようにしてみたらどうかとの話に則り、やってみたが、、30-40%は帰巣可能であり、また、ダーウィンの助言で、磁石を体にくっつけて飛ばせば、帰巣不能に陥るのではないかとの話に沿って、試してみたが、結果はほぼ同じだった。

 ファーブルは「昆虫には進化はない」という考えを持っていたらしく、そのことをダーウィンにも披瀝している。ただ、ダーウィンがそれにどう答えたかについては触れていない。

 なお、ショウジョウバエが1秒間に250回はばたくのに対し、ユスリカの小型のものの一種は同じ1秒間に千回以上はばたくという。

 また、一般的な蝿、虻は時速8キロで飛ぶが、蝶、蜂は30キロ、トンボ、雀は60キロ、蝿や虻の仲間には、時速40-50キロで飛ぶ種類が存在する。

 本書からは昆虫のしたたかさ、本能に従った徹底した動きとともに、状況や様相にちょっとした変化が起こると、ミスなく動いていた本能や知恵が誤作動を起こし、驚くべき愚かさを併せ持つことを知った。

 もっとも、昆虫は地球で最も多い種類を誇る生物であり、ファーブルから100年以上が経った今日でも、解っていない部分は少なくない。また、昆虫の進化過程は、人工的な灯火が無かった時代だったから、甲虫など電灯を点けて幕を張っておくと捕獲できる。かつて月や星の光に反応して飛ぶというDNAが人口の灯火によって誤作動を起こしているのだと言える。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ