メディチ家・12の至宝をめぐる旅/宮下孝晴著

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書評:ためいき色のブックレビュー-メディチ

  「メディチ家・12の至宝をめぐる旅」 宮下孝晴(1949年生/イタリア美術史専門家)

  帯広告:500年の時を超え、さあルネサンスの美空間へ

  2010年3月10日 アスキー新書より新書初版 ¥933+税

 メディチ家というのはある時期フィレンツェを牛耳った権力者であり、12の至宝というのは、ラウレンツィアーナ図書館、カレッジの別荘、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、サンタ・マリア・テル・フィオーレ大聖堂、メディチ・リッカルディ宮殿、サン・ロレンツォ教会、メディチ家礼拝堂、サン・マルコ修道院、シニョリーア広場、総合事務局、ビッティ宮殿とボボリ庭園をいう。

 結論からいえば、フィレンツェにメディチ家あったがゆえに、多くの芸術家、建築家がフィレンツェに集まったといえるそうだが、本書に出てくるダ・ヴィンチはミケランジェロの創作「ダビデ」の置き場所に関して異論を述べたというだけで、ほかにはほとんど出てこないのが残念といえば残念だった。

 本書は200年あまりのメディチ家とフィレンツェを纏めたものだが、教会に鉄の如き存在感が随所に出てくるのは時代を彷彿させて充分。

 ただ、1453年、コンスタンティノーブルの陥落以後、ギリシャ学者たちの亡命や膨大な文物の流入がイタリア半島に入り、15世紀のイタリア文化はギリシャ的性格を強めたとの話には格別の興味を惹かれた。「現在のギリシャ人は昔々のギリシャ人ではない」という異聞もそういうところからきているのかも知れない。

 とはいえ、コンスタンティノーブルを陥落させたオスマン・トルコとフィレンツェの関係が省かれていたことにはがっかりした。

 


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