ラッシュライフ/ 伊坂幸太郎著

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「ラッシュライフ」 伊坂幸太郎(1971年生)著
2002年 新潮社より単行本
2005年5月  新潮社より文庫化初版

 

 ミステリーが得意分野の作家らしいが、本書もなぜ入手することになったのか我ながら謎。むろん、この作家の作品に触れるのも初めて。「ラッシュライフ」とは「Lush Life」のことで、豊かな生活を意味する。

 四つのストーリーがそれぞれのストーリーを紡ぎながら並走し、最終的にどのストーリーもが連携をもって終焉を迎えるとの創造力に、初めこそ感心しつつ読み進んだが、文体にスピーディな印象がありながら、実際には余計な会話や説明が多く、冗漫な展開に次第に嫌気を覚え、そのうえ荒唐無稽な場面にぶつかり、非現実的なストーリーに読み継ぐ気力を失った。

 本書を賞賛する評論家は「挿話の連携は秀逸で、驚くし、最後に浮かび上がる登場人物たちのパノラマも素晴らしく見事」といい、「人物たちの巧みな交通整理と劇的な交錯と卓越した技巧に驚愕」とか「壮大な騙し絵の物語」とかいう褒め言葉に対し、私はむしろ反感を抱いた。構成にも展開にも「どうだ」といわんばかりの小賢(こざか)しさばかりが目立ち、むかつきつつ、苛々と退屈に襲われた。

 この作者の才能の如何が右か左かは知らないが、私の性格、嗜好に合わなかったのだとはいえる。たかが、小説、たかがミステリーを読んで、疲労したくはないというのが本音。


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