ローマ人の物語/塩野七生著

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「ローマ人の物語」 塩野七生著  新潮社

 

 この作家にはじめて出遭ったのは「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」で、以来、地中海を中心としたこの人の歴史書にはまりこんだ。

 はじめ私はこの作者を男だと思っていたが、そう思わせるほど文章は硬質で男性的、なによりも切れ味がいい。塩野さんのフアンは多いはずだから、これまであえて書評を加えなかったが、世界史へと私をいざなってくれたのが塩野さんで、おかげで多くの名著と作家とに出遭うことができた。

 「コンスタンティノーブルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」「マキャべり語録」「海の都の物語」などなどからも、多くを学ばせてもらった。

 この著者の作品はどれもが破綻をきたさず、たとえていえば上質のクリスタルグラスに触れている感じ。

 一般論だが、女性で地理、歴史、天文学に興味のある人は少ない。だから、塩野さんはきわめて特異なキャラの持主という印象がぬぐえない。これは「いいがかり」ではなく、圧倒されているだけ。

 塩野さんに、お願いがある。それはローマばかりにかかわらず、同じ西欧に住まいを持っているのだから、ローマ以外にも、執筆活動の幅を広げ、心にずしんとくるようなノンフィクションを書いて欲しい。


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