中国五千年、性の文化史/邱海濤著

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中国五千年、性の文化史
「中国五千年、性の文化史」 邱海濤著 納村公子訳
2000年集英社単行本初出
徳間文庫 2005年12月文庫化

「究極の性愛術」との副題が添えられているが、読後そのような印象は残らなかった。

 中国は「白髪三千丈」という言葉でもわかる通り、物事を誇大に表現することの好きな民族である。だから、中国ポルノが全般的に荒唐無稽、雑把、殺伐といった印象を与えるのは仕方がないのかも知れない。精力絶倫男や超淫乱女の話、非科学的な媚薬研究など、このような内容を読んで欲情したりびっくりしたりする人はあまりいないだろう。

 正直いって、大陸的だが、即物的で情緒に欠ける恨みがあり、 味も素っ気もなく、かさかさに乾いた感じが残る。むろん、本書を読んだかぎりにおいてだが。

 去勢された男性「宦官」のことは、史記を書いた司馬遷のことから大方の日本人が知っている。

 本書で最も唸らされたのは「纏足」(てんそく)のことだ。

 これは女子の足を幼児のころから包帯状のもので縛ってしまい、小さな足を美人であることの条件とした。紀元7世紀ころに発したらしいが、そこから「足フェチ」が生まれる。 目的は小股でしか歩けないから、股間の筋肉が発達し、男にとって具合がよいという説と、 纏足された足は女にとり「第二の恥部」となり、そこを見られたり、いじられたりすることが余人には理解しがたい羞恥心と快感と興奮を呼んだらしい。 と同時に、見たり、いじる側にも同じことがいえるそうだ。

 知人の一人は戦前、幼児のころ上海にいたことがあり、家には中国人女性のお手伝いさんがいて、かれらは彼女を「アマ」と呼んでいたが、しばしばアマに風呂に入れてもらった。彼女の足が異常に小さいことは知っていたが、あるとき、風呂場にいたとき、いたずら心で足に触れたところ、普段みせたことのない表情で怒り、「さわったらダメ」といわれ、叱られたという。

 陰唇のことを「鶏冠」といったそうだが、思い出したのがむかし沖縄のオバアから聞いた話。 沖縄方言で、陰唇のことを「ケッケレー」といい、ケッケレーとは鶏のトサカのことをいう。ひょっとして、この方言は中国からの影響か。

 本書は現代中国の性風俗の氾濫についても触れているが、遠慮なく私の危惧をいえば、性の乱れがタイのようにHIV感染患者を大量に産み、これが日本に影響をおよぼすことだ。


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