出世の首/筒井康隆著

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出世の首
「出世の首」 筒井康隆(1934年生)著
角川文庫  2007年3月文庫化初版

 
 荒唐無稽で、破天荒で、奇妙奇天烈でというのが、この作家の持ち味であり、特徴でもあるのは解っているが、面白いと思える作品と、あまりのくだらなさに音をあげてしまう作品とがある。

 本書は、正直いって、後者にあたる作品で、私個人としては評価を超えている。

 現代人を平安朝時代や江戸時代に紛れ込ませ、そこにキャバレーがあったり、電話でのやりとりがあったり、学校があったり、PTAがあったり、はたまた、桃太郎が犬と猿を同伴し、鬼が島に向かうにあたって地下鉄や自動車を使い、森に分け入って西洋の童話に登場する眠り姫や白雪姫を強姦したり、竜宮城の乙姫と侍女などと乱交パーティーをしたりするに及んでは、作者の特色でもある「象徴性」は失われ、悪ふざけも度が過ぎているという感が拭えず、妄想が先走って筆致が空転しているとしか思えない。良く言えば、「漫画の小説化」といえなくもないが。

 私はこの手の作品をユーモアではなく、単なる悪戯としか思えない。

 作者本来の機知や諧謔に富んだ作品とは雲泥の違いに頭痛を覚え、半分も読み進んだところで残念ながらギブアップ。

 作者は自己顕示欲の塊のようなキャラだから、この程度の酷評に目くじらをたてるようなことはないと確信している。


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