十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。/遠藤周作著

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「十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたら、この本を捨てて下さって宜しい。」
遠藤周作著  海竜社 単行本  ¥1500  2006年8月初版

 
 私が遠藤周作の作品を愛する理由は、ひとえに、ナイーブなところと、文章のしっとり感である。

 本書は、その意味で、私のイメージを完膚なきまでにぶち壊した。だから、お言葉通り、十頁読んだところで、放棄した。つまり、ゴミ箱に放り込んだ。

 狐狸庵先生にとって、本書が自信作であったら、とっくの昔に世に出していたはず。それを出さぬまま他界した理由は自信作ではなかったからで、死後、「46年後の遺稿」と称して、わざわざ単行本にする意図はあくまで出版社と遺族の金儲けであり、許せないのは上記のタイトルである。「いかにも」という印象ではないか。「天国からの贈りもの」などと、ふざけたことをいうなと罵倒したくなる。

 遠藤周作といえば、中身をあらためずに著作を入手するフアンがいることを忘れないで欲しい。そして、46年後に本人の感知しえない時点で、出版に踏み切ることには前世に発表した数々の名作に思わぬ傷がつくことも承知しておくべきだ。

 ¥1,500の丸損、スーパーなら黒和牛100gのステーキに値する価格だ。Damn Shit!!


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