古代史は身近にあり/川崎真治著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「古代史は身近にあり」 川崎真治(1921-2007/比較言語学者)著
副題:比較言語学で解く「邪馬台国」
帯広告:日本古代史に残された謎を次々に解き明かす一冊
2009年11月25日 東洋書店より単行本初版
¥1800+税

 

 日本の古代史に「奇抜な一石を投ずる書」という印象で読み進むうち、著者の提言に魅入られ、あっという間に読了してしまった。

 日本各地に古くから残る地名や人名のほか、線刻石、土器などに彫刻された図、文字、絵などを手がかりとし、「古代オリエント文明の東遷」という歴史的な過程に関する憶測をベースに隠喩、暗喩、数詞などからヒントを得つつ、日本語の形成と古代史の謎に迫るという内容。

 著者の研究は、「エジプト語、メソポタミアのシュメール語、アッカド語、バビロニア語、アッシリア語、ペルシャ語、インダス文明語、ドゥビダ語、インド梵語、パーリ語、マレー・インドネシア語、フィリピン・タガログ語、ベトナム語、紀元前の中国語、沖縄古語、倭人語、日本語という順序で音素分析法により比較、検討した結果である」という言葉からは古代語に通暁するために傾注した多大な努力が想像され、気の遠くなる思いに駆られた。

 以下、内容のほんの一部を紹介する。

1.東京に残っている地名の「馬込」「牛込」「駒込」の三例とも古代メソポタミアとインドの言葉から成立した。「込」は「米」であり、三つの地名ともに稲作水田だったからこそ2千年も不変の地名となった。

2.古代インドで創作された「5」の発音「リマ」は火山女神を表す数詞暗喩で、日本の有馬温泉の「アリマ」の「リマ」や東京の練馬の「リマ」がこれに通じ、マダガスカル語、マレー・インドネシア語、タガログ語も「5」は「リマ」であり、太平洋の多くの島の言葉でも、ハワイ語でも、台湾語でも同じであるばかりか、南米ペルーの首都「リマ」も同じ線上にある。

3.「大門」は東京、神奈川、埼玉、千葉、山梨、東久留米市、富士山麓、富山、大垣市に存在するが、いずれの土地も縄文時代の焼畑地区であり、どれもシュメールからインドを通って入ってきた言葉で、バビロニア語系の「判事」「裁判官」を意味する。

4.紀元前後、倭人はイラク語から「ハルカ」を、インド西南部のドラヴィダ語から「カナタ」を採り、「はるかかなた」という日本語を造語した。また、邪馬台国の「台」は台湾の「台」であり、タイ国の「タイ」と同列にある。

5.縄文時代から古墳時代にかけて、シュメール文化をたずさえた民族が日本にどんどん渡ってきていた。古代日本語のおよそ半分は古代シュメール語に、若干のバビロニア語が加わり、インド語、古代中国語が入ってきて江戸中期までの日本語が成立したと考えられる。

 本作品に著されたすべてが真実の言語史であるとの確証は未だないものの、アメリカのニューハンプシャー州からフェニキア文字やケルトのオガム文字を刻んだ碑文が出土し、フェニキア人やケルト人が紀元前9世紀にアメリカに渡って住んでいたことが判明している。

 古代に紀元前、紀元後を通じて、オリエントに盛衰した文明が海に隔てられた日本にたどり着いたという事実は驚嘆に値するし、 日本語の形成に寄与したという史実も驚愕の一語というしかない。

 考古学者のほとんどは外国の古代文明の言語に精通していないため、著者の事績に関する正当な評価ができないらしいが、「単なる語呂合わせ」との悪評があるのなら、その理由を知りたい。私には本書は斬新で、琴線に響く内容であり、新しい知識に胸が高鳴る思いだった。


前後の記事

3 Responses to “古代史は身近にあり/川崎真治著”

  1. はま@tahiti より:

     確かに、「リマ」って使いますね。
    「リマ」って「手」の意味もあるので、
    「指が五本で5」と言う事みたいです。
    ただ、「リマ」は、ポリネシア語で、
    タヒチだと「パエ」を使いますよ。
    タヒチでも、マルケサスとか、
    ガンビエに行くと「リマ」使います
    けれど。

  2. hustler より:

    コメントありがとう。
    勉強になりました。
    「太平洋全島」と書いたのを「多くの島」に訂正させてもらいました。

  3. はま@tahiti より:

    >hustlerさん
     マダガスカルは、ポリネシア人が
    発見したとされてますよね。
    あと、台湾の高砂族は、ポリネシア系
    とか。
    なので、言語系は同じ仲間だ
    そうです。

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ