史実を歩く/吉村昭著

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史実を歩く

史実を歩く」 吉村昭(1923年生)著
1997~8年まで「カピタン」に連載されたものをまとめたもの
1998年 文藝春秋社より新書初版 ¥680+税

 本書はこの作家が過去に書いた作品を仕上げた過程を吐露したもの。それぞれの作品にかかわる苦労話をはじめ、厳しくチェックした点、多くの関係者にインタビューした点、現地に赴いたときの話など、それぞれに特徴的な内容を書いたもので、どの章からも作者の人柄の良さ、誠実さがにじんでいる。

 本書に出てくる作品は:

 破獄、高野長英逃亡、日本最初の英語教師、桜田門外の変、ロシア皇太子と刺青(いれずみ)、生麦事件であるが、ロシア皇太子のニコライが大津で津田という巡査にサーベルで斬りかかられたことは知っていたが、ニコライと同伴者のニ人ともが長崎で日本の刺青を所望し、実現したという話は初の知見だった。

 日本の刺青の質の高さが世界に知れていたことの証左でもある。

 私自身はこの作家の作品とめぐり合えたことで、本というものの面白さに覚醒したし、結果として、吉村作品の大半を読むこととなった。ただ、今でも思い出すのは、私はこの人が受賞した作品は未だに触れてず、彼が次に手がけた「戦艦武蔵」に感動したことからこの作家との縁ができ、つきあいが始まった。


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