同性愛の謎/竹内久美子著

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どうせいあいのなぞ

「同性愛の謎」 副題:なぜクラスに一人いるのか
竹内久美子(1956年生)著
2012年1月20日 文藝春秋より新書初版 ¥740+税

 

 作者は「過去に偉大な足跡を残した、たとえばダ・ヴィンチ、オスカー・ワイルド、フレディ・マーキュリー、三島由紀夫などを尊敬しているため、男性の同性愛者に対して悪い感情を持ったことがない」といい、そのことが本書を著す動機にもなったようだが、この本を入手した私自身は男の同性愛者は、傍にも寄って欲しくないし、万が一体に触れられたら、思い切りぶん殴るほど気持ちの悪い存在。「エイズになって死んじまえ」とすら思ったこともある。

 ただ、最近のTVにはむかしなら遠慮して出てこなかったそういう類の男が頻繁に登場するようになって、同性愛になるのに「謎」があるのなら、それを知っておきたいという気持ちになった。

 *同性愛者は子を残しにくいという事情がありながら、なぜ同性愛に関係する遺伝的性質が消え去らず、同性愛者が常に一定の割合を保ち続けているのかというパラドックス。ちなみに、女性の同性愛者は男性の2分の1から3分の1と少ない。

*1999年、カナダ大学の研究によれば、協力者17000人の男性のペニスのサイズを、勃起時と普通時とに分けてサイズを測ったところ、男性同性愛者のほうが男性異性愛者よりいずれも大きかった。長さは5%、太さは約3%と

*胎児期にペニスを発達させるホルモン、ジヒドロテステロンのレベルが高かったことを意味する。男性同性愛者が大きなペニスをもつのはどの人種でも一致しているが、人種別にサイズを比べれば、大きい順にコーカソイド(白人)、ニグロイド(黒人)、モンゴロイド(東洋人)。

*サンフランシスコ湾岸で男性同性愛者と女性同性愛者を調査した結果、これまでに経験した相手の数は、男性同性愛者は100人以上が75%、1000人以上が27%、女性同性愛者は10人未満だった

*一卵性双生児、37組のうち一方が同性愛者だった場合、他方も同性愛者だったケースは37組全部だった。二卵性では、26組中、3組だけだったが、遺伝子によって決まるほか、環境によっても決まるとみられている。

*同性愛は動物界にも広く存在している。(海野弘の『ホモセクシャルの世界史』参考。男性同性愛者は家族の交流が活発ではないというデータもある。

*日本では昔から年長の僧侶と稚児との交わりがあり、空海がこの文化を中国から輸入し、正当化した。

*1993年、D.・H・ハマーはクリニックに通う男性同性愛者76人を対象にインタビュー。結果、解ったことは(1)血縁者のうち父親も同性愛者の例はゼロ、(2)父親の叔父119人のうち同性愛者2人(1・7%)、(3)母方の叔父90人のうち同性愛者7人(7.3%)、(4)父方のオバの息子84人のうちでは3人(3.6%)、(5)母方のオバの息子52人のうちでは4人(7.9%)。。。。以上から理解されることは、同性愛遺伝子は母から息子へと伝えられ、父から息子へは伝わらない。

*カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のオードリー・キムラの生殖腺研究によれば、同性愛の男性には右の睾丸が大きく、女性は左の卵巣が大きい傾向がある。女性の場合には乳房も左が大きい。

*最近注目されているのが「オキシトシン」というホルモンで、人と人のあいだに絆が築かれ、愛着の情が湧き、成長が促され、免疫力までもが高められる。オキシトシンは哺乳類すべてにあり、メスにもオスにもある。発見は1906年、イギリスのヘンリー・デール、脳下垂体から分泌され鎮痛を促す物質として見つけた。同時に、母乳の分泌を促すこともわかった。強烈な接触刺激であるセックス時にも、オキシトシンは分泌され、男にも女にもオーガズムの際に分泌も最高潮に達する。

*サント・ドミンゴの西、4,300人の人口をもつ村、サリナスで調査したところ、24人が偽両性具有の男性だった。性染色体の上では男、つまり「XY」の状態。思春期前までの彼らの体の特徴に共通していたのはペニスがなく、クリトリスと見間違えるほどの小さな突起があるだけ。睾丸はあるが、腹中に留まっていて、陰のうには降りてきていない。さらに、ヴァギナ(膣)のような行き止まりの状態の構造や陰唇のような形の部分もある。この外見から女の子として育てられるが、思春期を迎えると、声が低くなり、筋肉もつき、男らしく、逞しくなってくる。ペニスが発達し、睾丸も陰のうに降りてきて射精も可能となり、男に変身。(ただし、ひげははえず、にきびも出ない)

 以上、興味を惹いたところだけをピックアップしたが、思った以上に面白かった。


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