地図の読めないアラブ人、道を聞けない日本人/アルモーメン・アブドーラ著

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書評:ためいき色のブックレビュー-アラブ

  著者:アルモーメン・アブドーラ(エジプト人/1975年生)

  小学館より2010年10月6日初版・新書¥700+税

 著者は2001年に学習院大学を卒業して以来、日本に居住し、現在は言語学者。この著作は著者みずから日本語を駆使して書いている。

 世界でも難度の高い言語の一つといわれる日本語を外国人がマスターするのは大変であることは解っているが、正直いって、言葉の選択や表現に拙いものは感じられる。

 内容には「おもしろい」と思うもの、「まさか」と思うもの、「思い込みだよ」と言いたくなるもの、などなどがあり、そういうなかから抜粋して以下に紹介する。

*足元に寄ってくるハトを見て、「おいしそう」と思うのがエジプト人。

 (同じ言葉をむかし香港からやってきた歌手のアグネス・チャンの口から聞いたことを思い出した)。

 

*アラブ人は地図を見ることが滅多にない。いわんや地図を見ながら場所を探すなどあり得ない。アラブ人は直接人に聞きながら目的地に向かう。アラブ人は困った人を放っておけず、助けたい一心であまりよく知らなくても教えようとする。

 (バリ島にいたとき、運転手が目的地にたどり着けずに困っている様子なので、「土地のだれかに聞いたらいいじゃないか」と言ったところ、「だれに聞いても教えてくれますけど、確実かどうか解らないんです」と答えた。どうやら、熱い地域に住む民族に共通したいい加減さのように思える。知らないのに知っているかのように応じられるのは聞く側に一層の混乱を与えるだけ)。

*アラブ人は思いついたらすぐ行動し、日本人は細部にわたって徹底したリスク管理を考え、熟慮して行動する。(思いついたらすぐ行動するのは幼とはいえるが、日本国内でシンドラー社のエレベーターだけが人身事故を起こすそうしたことの一貫か?日本で仕事が出来ていること自体が信じられない)。

*アラブでは年齢にかかわりなく、親しい仲間という感覚で、男同士でも手をつないで歩く。

 (バリ人も若い男同士が肩を組んだり、手をつないだりして歩いている。そういう風景に初めてぶつかったとき、とても気持ち悪かった。日本では10代の女の子が見せる風景)。

*アラブ人は感情を爆発させる民族だが、日本人は感情を抑える民族。

*エジプト人の最大の娯楽はおしゃべり。とりとめのない内容の話をする井戸端会議。

*日本の食物でいちばん衝撃的だったのはコンニャク。

*アラブ社会は肩書き主義。

 (インドと同じ、保守的で封建的)。

*アラブ人が結束できるのはアラビア語という一つの言語を共有しているから。

 (日本、中国、韓国が結束できないのはアジア語という共通語がないから?)

*アラブ諸国のリーダーはカリスマ性の有無で評価される。

 (エジプト大統領が国民のデモで退陣したことはどう捉えているのか。リビアのカダフィは?シリアの王侯は?)

*アラブ人は宗教に信頼、尊敬、道徳などを連想し、人の一生になくてはならないものと認識。あらゆる場面での行動規範。

 (宗教があるから人民に対する偏った道徳の押しつけがあり、科学の発展の邪魔をする。異教徒間なら、対立、迫害、殺戮、戦争が起こる。同じ宗教ですら幾つもの宗派に分かれ、内部紛争、闘争に明け暮れ、殺しあうのではないかと、世界史がみずから語っているように思うのだが)。

*新しい価値観や違ったものの見方というものは異文化に触れてはじめて体感し、習得できるもの。違いが大きければ大きいほど、理解することに苦労は伴うが、得るものも大きい。

 本書の内容からは「アラブ人を理解してもらい、ビジネスの役に立ててもらえたら」という意図を感ずる。

 上記の本書の写真に「言い訳するアラブ人、謝罪する日本人」との記述と著者の写真が掲載されているが、これは次作を紹介するコマーシャル。


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