地球外生命体の謎を楽しむ本/長沼毅著

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「地球外生命体の謎を楽しむ本」 長沼毅(1961年生/広島大学院生物圏科学研究科准教授)著
帯広告:宇宙に生命体が存在する確率は99.9%
2010年4月30日 PHP研究所より単行本初版 ¥500(税込)

 

 宇宙に生命体(知的生命体という意味ではない)が存在する確率は99.9%だが、存在する場所として考えられるのは地球の深海に在る熱水噴水孔、地下深部などの極限環境こそが格好の舞台と考えられ、太陽系内惑星や系外惑星にも充分な可能性がある。むろん、知的生命体の存在も否定できない。

 もし、知的生命体がどこかの天体に存在するとして、人類の現在の知的能力に比べ、どの程度の開きがあるか? 天体の宇宙での存在年数によっても相当に違うことが予想される。

 (地球という惑星がどの点からも極めて微妙なバランスのなかに存在し、それが人類を含め、多くの生命体を育む礎になっていることは否定できないが、1,500億個X1000個以上の数の天体が宇宙に存在するのだから、地球のような生物を宿す天体がもう一つ在っても不思議はない)。

 生物はメタンや水の存在が鍵で、メタンは光化学反応により複雑なアミノ酸や蛋白質に変わる可能性がある。それらは生命に欠かせない有機物である。可能性は火星をはじめ、木星の衛星、エウロパや土星の衛星、タイタンも有力候補。

 月に氷が存在することが無人探査機を激突させることで立証されたが、水が在れば、水は飲料水にもなるし、分解して酸素を呼吸用、水素を燃料用に使える可能性が生まれる。月の裏面には核融合反応の原料となるヘリウム3が豊富に存在する。これは地球にない、次世代エネルギーともなり得る。

 木星は太陽系の中でも、最大の惑星、衛星の数も63個と多い。かつて、ガリレオ・ガリレーが1610年に見つけたイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4個の衛星は多く存在する衛星の中でも格段に大きく、地球以外の天体で初めて火山の活動が発見されたのはイオだった。イオは木星に最も近くを回っていることと外側を回るエウロパの存在が影響、両者の重力を受けて、イオに歪(ゆが)みが生じ、摩擦熱が高温のマグマをつくりだしている。

 イオには100以上の火山があり、40箇所が活動、なかには標高9千メートルの火山もある。

 (また、木星の存在は重力が大きいこともあり、宇宙を飛び交う大中小の隕石、衛星などをひきつけ、木星に衝突させてきたおかげで、地球を含め、その他の太陽惑星が衝突を免れたことも僅かな例ではなかったであろう)。

 生命存在の最大の可能性を秘めているのが木星の衛星、エウロパ。厚さ3-100キロメートルくらいの氷に覆われているが、表面に液体の水、海が存在する可能性がある。イオが重力によって温められるのと同様の重力による反応がエウロパにも起こって、水温が一定に保たれている可能性があるとの判断。

 また、太陽光が届いていなくても、海底に熱水孔があれば、生態系を生み出す環境がつくられる。

 土星最大の衛星、タイタンは原子地球に相似し、窒素を主成分とする一気圧以上の大気をもつ星である。誕生直後は二酸化炭素を主成分とする大気をもっていたが、それはバクテリアや植物の働きによって窒素を主成分とする大気に変わったとみられる。一方、タイタンの大気に含まれるメタンの供給源はタイタンの表面に存在する液体メタンでできた海や湖ではないかと憶測される。

 タイタンでは大気中に霧雨のようなメタンの雨が降っていて、地球の大気循環が水が主体なのに対し、タイタンではメタンが主体なのではないかと考えられ、地球人の想像を超える生態系の広がりが存在するかも知れない。

 土星に「エンケラドゥス」というタイタンの10分の1というサイズの衛星があるが、氷に覆われ、大気には一酸化炭素、二酸化炭素、メタン、プロパンなどの有機物のほか、水、塩、熱源が在ることも判り、彗星がかかわったのではないかとの憶測を呼んでいる。

 彗星は生命に必要な有機物の運び屋で、地球の生命の起源にも彗星がかかわったのではないかという考えがある。その考えにヒントを与えたのはオーストラリアに落ちた隕石で、地球のアミノ酸と全く同じ同質のアミノ酸が発見された。

 海の存在が生命体存在に不可欠であり、海をもつための惑星の条件は質量、大きすぎもせず、小さすぎもせずというサイズ、小さくても地球の0.3倍、大きくとも地球の3.05倍までで、さらに太陽(恒星)からの近すぎず遠すぎずという距離が求められる。

 系外惑星(太陽惑星系以外)はこれまで420個以上発見されているが、パラボラアンテナを使って微弱な電波を捉えることで直接観察する。

 宇宙の広さは生命体を育むほかの惑星の可能性を示唆するが、一方、広すぎることが人類とほかの星の知的生命体との出遭いを阻む壁ともなっている。人類文明が長く継続することが、なによりも、他の天体の知的生命体との遭遇の可能性に必要。なにしろ、宇宙はすさまじい勢いで膨張している。現在は139億光年のかなたまで拡張しているが、気の遠くなる距離であり、現在改良した望遠鏡をつけたハップルが追いかけている。

 ところで、最終氷河期が地球で始まったのは約11万年前で、ホモサピエンスが新石器時代に入ったのは一万年前、すなわち最終氷河期が終わったときという幸運に恵まれた。その後、間氷期に入ったが次の氷期は4万年後か10万年後に始まると言われる。人類はそれまでに自分たちの手で文明社会を破壊、人類の絶滅を自ら導いてしまうかも知れない。それとも、それをクリアする智恵が人類にあるのだろうか?


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