変身/フランツ・カフカ著

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変身

「変身」 フランツ・カフカ(チェコ人/1883-1924)著
訳者:中井正文
角川書店  1952年に文庫初版
同店より  2007年6月に改版初版

 

 高校時代よりこの著名な名前だけは記憶していたが、作品に接したことはなく、カフカという名に一種の畏敬と憧憬とを感じてはいた。

 カフカ作品として最も世に膾炙した「変身」を読むことを決意したのは行きがかりというべきか、読み始めたとたん、「変身」の意味が、朝起きたら人間から甲虫に変容してしまう話だと判り、驚嘆。

 解説者が「ゆるぎない緊密さで見事な完成を示している」と発言しているが、私にはそうは思えず、第一に変身直後は部屋の外部にいる家族との会話が可能だったのが、変容した醜い体が露わに見られてから以後、唐突に会話能力が失われていることに説明がないこと、第二に変身の対象になった甲虫のサイズについて一切説明がなく想像不可能なことである。

 「変身という設定自体の荒唐無稽さが何を暗示しているのかよく判らないし、解説者が「読者は名状しがたい不思議な魅力に引きずられ読み進むだろう」という意見にも賛意をもつことができなかった。ベッドで読めば、一行ごとに眠くなった。

 正直な感想としては、ユダヤ人である作者の若い青年時代の狂気、コンプレックスが基本にあり、創作ものの嫌らしさ、現実感のない内容という印象があるだけで、この作者に影響を与えたというニーチェ、ドストイエフスキー、ジイドなどの作品のほうがはるかに親近感がもてる。


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One Response to “変身/フランツ・カフカ著”

  1. 祖父 より:

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    ニーチェとバタイユを以前呼んだことがありまして。かなり影響力のある哲学書であります。

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