「大人の恋」は罪ですか?/亀山早苗著

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「『大人の恋』は罪ですか?」 亀山早苗著
帯広告:危険な恋にまどうアラフォー女性たちの本音
2009年12月31日 徳間書店より単行本初版
¥1200+税

 

 タイトルは思わせぶりだが、四人の女性を主人公とする「女の性」を軸に展開する内容。一人は出産、子育てするうちセックスレスとなり、性欲を満たすために不倫に走ったり、ホストを買ったりし、一人は結婚後も子供ができず、離婚、結婚をくりかえし、一人は未婚のまま妻のある男と長年にわたって恋愛関係を続け、男は妻とその女のあいだで苦悩したあげく自殺に追い込まれ、女も病死するという、古今東西にごくありふれた男と女の物語。

 作者がこの種の小説を多く手がけているにしては、ポルノティックな場面が多く、かつポルノティックな軽い文章づくりが全体的に薄っぺらな印象を与え、青っぽい感じが拭えない。

 このたぐいの小説には現実感と空虚感とがつきまとうのが常のことで、この作品がその意味で成功しているとは思えない。

 ある夫は自分の妻が数人の男たちに陵辱される場面を見たいあまり、そういう場に妻を同伴する。はじめこそ羞恥にまみれていた妻も度重なるうちに積極的になり、ついにはアメリカ黒人との性的相性の良さから自分たちはソウルフルな関係にあるという確信をもつに至り、夫と別れて、くっついてしまう展開があるが、これなどはむかしむかしのアメリカのポルノ館で見た場面(視聴者を興奮させることを唯一の目的とした)を想起させるほどで、文学の香などは全くない。

 唯一、心に残ったのは、女三人が集まって自殺した男を追うように病死した女友達の葬儀に列席したあと、レストランで食事し、深刻な内容の話をしながら、女たちはだれもランチを残さず、しっかりデザートを追加し、何杯もコーヒーをお代わりする。その場面で、「女は怖い、したたかだ」と評した言葉。


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