天体写真でひもとく宇宙のふしぎ/渡部潤一著

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「天体写真でひもとく宇宙のふしぎ」  渡部潤一(1960年生/理学博士)著
副題:星の産声から墓場まで130億光年の宇宙の旅
2009年11月24日 ソフトバンク・サイエンス新書初版 ¥952+税

 

 本書はこれまでに得られた天体写真を通じて、宇宙のワンダーに迫ろうとの目的で書かれたものであり、「ハップル宇宙望遠鏡」が捉えた写真はむろんのこと、他の探査機が撮影したものも使われ、写真がそれぞれのテーマごとに掲載されているため、解りやすく、かつ楽しい。

 解説は「太陽系」と「銀河」に大別されているが、「太陽系惑星」についての記述が私にとっては知っていたつもりが実はそうでもなかったことを自覚させられた。

 また、ハップル宇宙望遠鏡による映像は最近になってNHKTVでも映像を流し、専門家による説明などもあり、天体の好きなフアンは目を釘付けにしたであろう。

 以下は記憶に残った部分:

*火星には火山の痕跡が明瞭に残っているが、オリンポスと名づけられた山は太陽系中最大の山で、周囲の地平から2万5千から2万7千メートルの標高があり、裾野の直径は700キロに及んでいる。地球のエヴェレストより3倍以上も高い嶺が地球より小さい火星に可能だったのは、この惑星にプレート移動がないためである。

*1979年、木星の衛星イオにボイジャー1号が接近し、きわめて鮮明な画像を撮影、送信してきた。地球以外の天体で、活火山そのものが確認されたのはイオが初めてのケース。

 なお、探査機は対象とする天体の周回軌道に入ることで余裕ができ、じっくり観測が可能となる。

*6500万年前、中央アメリカのユカタン半島に衝突した天体が恐竜絶滅の直接の原因といわれているが、330万年前にも天体衝突がアルゼンチンで起こり、36種類の生物が絶滅したといわれる。

*主(恒星)なき惑星が宇宙空間には幾つも存在する可能性がある。

 (また、太陽系以外の恒星を中心とする惑星の発見にも近年力が入れられている)。

*現在わかっている最も重い星は「りゅうこつ座」のエータ星、太陽の100倍以上の質量、明るさは太陽の500倍、こういう星の将来(数百万年後)は超新星爆発を起こす有力候補。

*1054年、日本の藤原定家の「名月記」と、アメリカインディアンの記録に残されたものに、「明るい星が突然現れた」ことが伝えられている。これは「カニ星雲」の超新星爆発によるものであることが判っている。この時代、欧州では宗教の影響で、そうした観測ができなかった。仮令(たとえ)できたにせよ、発表できなかった。

*われわれの銀河は「渦巻銀河」だと思われてきたが、実は「棒渦巻銀河」であることが判ってきた。銀河は宇宙に1千億以上存在するが、それぞれが独特の形をもっており、楕円銀河、子持ち銀河、宇宙クラゲなどなどの命名がある。(それぞれの銀河は1千個前後の天体から成っている)。

*ハップル宇宙望遠鏡は最近110億光年の距離にある遠方銀河を捉え、今後の研究によって宇宙の誕生が鮮明に映し出される可能性を秘めている。現在、最も遠くにある星は130億光年前後といわれる。
 (南米の標高七千メートルの透明度の高い土地に、現在、各国が協力して新たな「電波望遠鏡」を66台併設して、より遠隔の宇宙を把握しようとの計画が進められている)。

 アメリカが火星へのチャレンジを発表したが、宇宙産業への投資と研究という面では明らかにロシアに遅れをとっており、アメリカは今後数年間は宇宙軌道を周回する人工衛星への物資運搬や宇宙飛行士の輸送からは手を引くらしい。

 先般も、NHKで討論があったが、日本は日本独自の計画と研究を進め、たとえば月に有人探査機を送って、月の太陽光が当たり続ける部分に巨大なソーラーパネルを張り、そこから発電したエネルギーを地球にフィードバックさせ、地球環境に配慮するなど考えるべきだという話には納得がいった。


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