太陽の科学/柴田一成著

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書評:ためいき色のブックレビュー-太陽

  「太陽の科学」 

  著者:柴田一成(1954年生/京都大学大学院理学研究科付属天文台長)

  副題:磁場から宇宙の謎に迫る

  帯広告:真の姿は爆発だらけ

  2010年1月30日  日本放送出版協会 単行本初版 ¥970+税

 太陽研究がここ十数年の間に日進月歩で飛躍的に進んでいるのは事実だが、それを可能にしたのは日本が飛ばした太陽探査衛星、「ひのとり」と「ようこう」だという。

 「太陽は恒常的に爆発をくりかえし、10年に1度は大フレアを出し、放射線を撒き散らす。1989年にはカナダのケベック州に大停電をもたらした。地球の磁気圏が揺らされると、磁気嵐が起こり、とくに極地で影響を受ける。オーロラが極地でしか見られないのは太陽現象の延長線上にある。(とはいえ、宇宙空間から見るならば、オーロラーは条件さえ揃えば地球上どこにでも見られる現象)。また、太陽は可視光線のほかにX線、紫外線、赤外線など様々な電磁波を放射している」

 「太陽は超高温の気体から成っていて、地球のような固体ではない。水素とヘリウムが核融合反応し、皆既日食で見られるコロナの部分で100万度という超高温に達し、太陽風として太陽系空間を埋め尽くしている」

 「太陽のサイズは地球の100倍、重力からの脱出速度は地球の60倍、地球からの距離は1億5千万キロメートル。また、太陽は宇宙に大量に存在する恒星のなかでごく平均的な星」

 「太陽に存在する水素の10分の1ほどが核融合に参加し、ヘリウムに変化される。その10分の1の寿命が約100億年といわれ、およそあと50億年が太陽の寿命」

 「小柴教授がノーベル賞をもらった事績、ニュートリノは太陽の中心そのものの構造を解明する目的をもつもので、これからの課題」

 「太陽からはフレアのほかプロミネンス、フィラメントと呼ばれるものも出ている。フレアもプロミネンスも太陽から恒常的に噴出しており、それは太陽の大きさの何倍ものサイズの塊がひっきりなしに飛んでいくことを示唆している。地球上の恐竜が絶滅した原因として隕石の衝突が有力候補に上がっているが、太陽が稀に起こす大フレアが原因である可能性もある」

 「天体には回転と磁場が普遍的に存在するから、磁場は回転の影響でひねられたり、ねじられたりする。結果、磁力線と磁力線の細かな絡み構造が不連続で発生する。もちろん、地球の磁気圏は太陽風から地球を守っている」

 「藤原定家がその日記、名月記に1054年に今までなかった、木星くらいの大きさの星が生まれたことを記しているが、それはカニ星雲の超新星爆発を意味しており、われわれはその残骸を見ていることになる」

 (同じ年、アメリカインディアンも同じ天体の変化を記録している)。

 「宇宙空間ではいたるところでフレア爆発とジェット爆発が起きている」

 「太陽の表面に黒点の多いときは活動が活発で地球は熱くなり、少ないときは寒冷化する。1640年ー1710年、黒点がほとんどない時期、ヨーロッパは異常に寒く、ミニ氷河期と名づけられ、テムズ河が全面凍結した。最近も100年に1度というくらい、太陽は不活発。温暖化より寒冷化のほうが人命への被害は桁違いに大きいことは確かで、地球の温暖化より寒冷化を危惧する学者もいる」

 わが国が飛ばす人工衛星は、宇宙のなかでは比較的近い天体への探査が目的で、現在も「金星探査機」を飛ばすべく天候が許す日を待っているところである。「太陽系」を観測することで、遠距離の星のことも理解できるという信念をこの著者はお持ちのようだが、慧眼だと私は思う。ただ、地球から金星まで半年以上がかかるという発表にはさすがに驚いた。金星は火星同様、地球の隣の惑星である。


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