女房はドーベルマン/野村克也著

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女房はドーベルマン

「女房はドーベルマン」
野村克也(1935年生)著
2002年5月25日 双葉社より単行本初版 ¥1200+税

 

 野球人としての実績において日本球界に限れば、野村という男こそがナンバーワンだと長く思っていた。三冠王をとったことも、選手と監督を同時にこなしたことも、そうした私の思い入れを助長した。

 王貞治がホームランの数が多いことに「世界の王」と命名しての話をしばしば耳にするが、メジャーと同じ場所で同じ環境のもとに勝負したわけでもないのに、数だけを取り上げて「世界一」だと騒ぐのは、むろん本人が言ってるわけではないが、みっともない。

 長嶋などは簡単に取れるサードゴロを仰々しく、さも難しいゴロを処理したかのように振舞っただけで、フアンへのサービスには長けた人だが、監督としては、見るべきもの、評価すべきものは、とくになかった。そこにいくと、「野村は違う」というのが私の信念。ほかの例でいうなら、「野茂あっての日本人メジャー」である。

 最近、とみにTVに顔を出すサッチーこと、妻の沙知代さんのテンポのよい口調、毒舌も嫌いではなかった。だから、どの程度にドーベルマンなのかと興味を引かれ、本書の入手に及んだ。

 ところが、知らなかったのは私だけだったのかも知れないが、おそらく海外に仕事で滞在しているときか、TVを見たり週刊誌を読んだりする時間がなかった沖縄で仕事をしていたときのことか、サッチーが密かにやっていた脱税がバレて警察沙汰になり、サッチーは刑務所にしばらく収監される身となったことがあったという。そして、この話に端を発した多くのバッシング、野村自身の野球人生への影響などが書かれ、本書の文頭から数十ページを読んだだけで、うんざりしてしまった。バッシングは実に200日におよんだという。

 しかも、この二人が一緒に暮らすようになったとき、サッチーは前夫との離婚が成立していなかったといいうから、この人のデタラメさは半端ではない。

 野村は、「名声は短く、汚名は長い」という誰かが口にした言葉に感銘を受けたというが、やっていることがあまりにデタラメで、南海を即解任されたのは当然といえば当然。

 本書に関しては野村の目を通した「球界」のことがよく解るという程度のことで、それ以上に語ることはないが、「赤子をうつぶせに寝かせることを、当時、沙知代はすでに知っていた」と誇らしげに言ってるが、日本人の赤子は窒息死する可能性を秘めていることもあり、女房を自慢したいあまりよく調べもしないで書いてしまうのは墓穴を掘るだけ。


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