平凡パンチの三島由紀夫/椎根和著

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書評:ためいき色のブックレビュー-平凡

  「平凡パンチの三島由紀夫」  椎根和(1942年生/元平凡パンチ編集員)

  帯広告:まだ誰も知らない本当のミシマ

  2007年3月 新潮社より単行本

  2009年10月1日 同社より文庫化初版 ¥514+税

 著者は平凡パンチの編集を担当していた折り、三島が市谷の自衛隊東部総監室で自裁するまでの3年間を共に過ごした関係にあり、その折りの三島の言動を挙げつらって、いずれかといえば、三島の先見性を示そうとの意図を感ずる。

 三島の小説は10冊以上が映画化されているが、これは世界でも稀なケース。一方、永井荷風は映画化の話が出るたびに、「自分の原作が毀損されることを悲しむなり」と言って、ことごとく拒絶したという。それは、三島に映像への鋭い感性があったためと著者は釈明する。

 (どんな映画を見ても、映画が原作を超えている、あるいは原作にマッチングしていると感じたことはない)。

 はっきり言って、内容は国内外の知名人の発言や著作などを引き合いに出し、三島の小説や発言などとの比較、検証を延々と繰り返すことが多く、解りにくく、読者を牽引する力に欠けている。

 三島という男のキャラクターには幼児性がつきまとい、独特のいきがりと、一人よがりと、虚栄心と、自己陶酔とが混在していることで、それ以下でも、それ以上でもないことを本書を通じ感じた。

 基本的に、三島は蒲柳体質の男で、それが劣等感として根っこにあり、作家として名を成した後にボディビルに凝ったのも、「青びょうたん」と揶揄された若い頃の屈辱を忘れることができなかったためだろうと思われる。

 


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