徹底抗戦/堀江貴文著

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徹底抗戦
「徹底抗戦」 堀江貴文(1972年福岡県生まれ/ライブドア創業者)著
2009年3月10日  集英社より単行本 初版  ¥952+税
帯広告:ホリエモン渾身の書き下ろし「これがオレの言い分だ」

 
 ライブドア事件とは;

1)偽計および風説の流布
2)有価証券報告虚偽記載

 の二つあり、ホリエモンが主導し、計画的に行なったとの疑いから出発した。

 「検察の特捜による上場企業に対する強制捜査は投資家保護という常識判断に従って、通常は金曜の株式市場が終了した直後に始まるのだが、ライブドアに対しては意図的に月曜日に特捜による強制捜査を始めた。はじめから、ライブドア潰しを狙ってのことで、投資家保護などには全く配慮していなかった。株価はかれらの思惑通り、売り叩かれ、暴落し、多くの投資家が損失をかぶることとなった。これが社会正義なのだろうか」

(それとも、特捜という部署はバカの集合体なのだろうか)。

 「その時点で、ライブドアは上場基準を満たしており、業界から上場廃止という奈落の底に落とされる謂れはなかった」。

 「自分は同義的責任を回避しようとは思っていない。刑事事件の無罪を訴えているだけ。ライブドアは未だに1千億円以上の現金を持ち、傘下に上場企業を抱える大企業である」

 「同じく逮捕された宮内という男は自分の右腕だったし、信頼していたからそれなりのポジションを与えもしたから、彼のアドバイスにはしばしば従って企業運営を行なってきた。その男がまさか信頼を裏切って、私服を肥やしていたなどとは露ほども疑ったことはない。沖縄で自殺した男がなぜ自殺したのかも、私には全く判らない」

 「検察特捜部の判断だけで、逮捕、拘留、公判が行なわれる仕組みだから、かれらが拘留期間を意図して長期化することでプレッシャーをかけ、白を黒と言わせようとすることも可能なのだということが拘留されることで解った」

(拘留されることの辛さについては、本書に詳しく書かれている)。

 「また、情報化社会において、マスコミが内容や内実が解っていないに拘わらず、言葉を替えれば、判断能力の有無とは関係なく、権力者に成りあがって、嘘も真実もごちゃごちゃに放映したり、しゃべったり、書いたりする。こうした実態は現代特有のメディアによって煽られる恐怖であることをあらためて認識した」

 「敵対的買収」で長期にわたって存続してきた企業を短期日で手に入れようとする手法が日本人、ことに対象となった企業の従業員には受容できず、「汚い」「狡猾」といった印象で見られるのは解らなくもないが、相手が外資の場合、従業員や一般人の思惑などは問題外で、あっという間に思い通りにされることが多い。現実、金融恐慌が始まる前まで、外資の手中にある日本資産は、企業を含め、幾らでも存在した。

(むろん、現在でもある)。

 国際的な舞台を知り尽くしているはずの大前研一すら、ホリエモンの手法には必ずしも快く思ってはいなかった。

 この著作を読んでいて感ずるのは、ホリエモンという人物はカリスマであり、アイディアマンではあっても、脇が甘く、自分の側近の人選に大きなミスがあったこと。卓越したアイディアに対し、緻密なフォローアップが欠落していたこと。また、日本人の常識のカラを破った人格が周囲の理解にマッチしなかったこと、傑物というよりむしろ奇人、変人というカテゴリーで括られていたこと。日本社会は言葉足らずの、生意気なことを口にする男に対して、「出る杭」というイメージがもたれ、寄ってたかって打たれる対象になりやすい背景を認識していなかったというほかはない。

(日本放送の社長のほうがよっぽど悪相ヅラだったけれども)。

 ホリエモンは6億円の保釈金を払って保釈されているが、裁判はこれからである。

 本書には「日本も大統領制がいい。憲法が天皇から始まる憲法には違和感がある」と、外人記者クラブで発言したことが物議をかもしたらしいことが書かれている。「皇族に未だに敬語を使うマスコミ報道姿勢にも疑問」という意見を併せ、皇室の件に関して、私は全面的にホリエモンを支持する。いや、皇族の伝統を守ることに宮内庁という特殊で大掛かりな組織をつくって、国民の税金を費やす必然性が私には判らない。一方で、老齢者介護すら満足にできないという実態があるのに。

 天皇が変わるたびに年号が変わり、日本人だけが世界で二つの年号を覚えなければいけないというのも、全く非合理的。

 また、「せめて、首相だけでも公任制(国民が直接選出する制度)にしたらどうか」というホリエモンの意見にも私は大賛成。もし可能なら、「世襲制の禁止」も、「議員である期間に賄賂や粉飾決算、政治献金、選挙違反などで、秘書を含め、逮捕された議員は責任をとって再出馬禁止」も、盛り込んで欲しい。世襲された議員など、どれもこれも庶民の感覚など解るわけがない。

 さらに、ホリエモンの一件の有無とはかかわりなく、マスコミという世界のでたらめさ、戦前の報道管制のリバウンドというべきか、戦後は自由奔放に走りすぎ、ことの裏もチェックせずに、どのチャンネルも対象をめったやたらにバッシングするワンパターン。視聴率を上げることだけが唯一の目的と化した現代のヒズミであって、たかが民放が偉そうに愚民を誘導する様子は醜悪の一語。

 逮捕から3年、本書には拘置所経験だけでなく、ライブドア事件の真相が告白されており、裁判の結果がどうあれ、一読の価値がある。むろん、この本に書かれたことが真実かどうかについては、私個人の知るところではない。


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One Response to “徹底抗戦/堀江貴文著”

  1. 関西より より:

    売れているようですね。
    同い年という事もあり、takapon(ホリエモン)ブログを読んでいますが、あのころから年数もたち客観的な話も多く、楽しんでいます。
    やはりちょっと行儀の悪い実力のある若手がでてくると年配の方々は叩いておこうと思うものなんでしょうかね。

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