掏摸(スリ)/中村文則著

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書評:ためいき色のブックレビュー-スリ

  「掏摸」  中村文則(1977年生/芥川賞受賞作家)

  2009年10月30日 河出書房新社より単行本初版 ¥1300+税

 この作家の著作に触れるのは初めて。

 

 本書の内容は一気読みに堪え得るものだが、心に響くのは母親にけしかけられて子供が万引きをする場面と、主人公の天才掏摸師とその子供とのやりとりに尽きる。

 掏摸の技巧は参考にできる文献が幾らでもあるから、それらしく書けるが、主人公が相対する「究極の悪」とされる人物の吐く言葉は虚しいだけで、現実感に乏しく、やや白ける。

 どう考えても、この著作で光っていて、記憶に強く残るのは、母親に疎まれ、主人公に愛される子供である。


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