新・スカートの風/呉善花(オソンファ)著

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新・スカートの風
「新・スカートの風」
呉善花(オソンファ/韓国人/1956年生)著
帯広告:合わせ鏡の関係としての日韓
1992年12月 三交社より単行本初版 ¥1243+税
2000年1月 角川書店より文庫化初版

 本年5月に「スカートの風」を、6月に「続・スカートの風」を書評し、その都度心に引っかかるものがあって、本書に至ったが、この三冊に共通するのは鋭い洞察と誤解と韓国人としての顕示欲とが混在していることと併せ、最大の欠点は書かれた時期が古すぎて現状に馴染まないことだ。

 三冊のうち最後に出版された本書ですら1992年の出版であり、以来10年近い歳月が流れ、その間に両国の関係も、人事交流の面でも、お互いのイメージも10年前には想像もつかなかったほどの変化をみせている。

 かつて、アメリカ人とカナダ人を観光客として誘致する仕事に従事していた頃、ハワイに住んでいた一人のアメリカ婦人が私が何も言わないのに、突然、「I hate Koreans」(自分は韓国人が大嫌いだ)と言い出した。聞くと, 「Because they are unable to be good friends with us. Their charactors are basically unchangeable. You know, blood is blood.」(やっぱり血は血なんですよ)。

 私は肯定も否定もしなかったが、どのような理由でハワイ居住のアメリカ婦人がそういうことを唐突に言い出したか判然としないまま歳月が流れたが、忘れがたい言葉として脳裏に在り続けた。

 かつてロスアンジェルスで韓国人街が襲われた事件(作者は原因は韓国人移民が自己中であり過ぎたためと言っている)がありはしたが、その時代はもとより、ハワイ居住の婦人がぎょっとするような発言をした時代とも、この著者が本書を書いた時点との比較においても、韓国人のイメージも、著者が抱いた日本人のイメージも大きな変容をきたしていると考えることに異論はないだろう。

 前にも本ブログに記したが、韓国の電化製品の一つ、湯沸かしポットは買って二日目に壊れた、現代〔ヒュンダイ)の自動車のパワーウィンドーが突然の降雨で閉じようとしたら動かず車のなかがびしょ濡れになった。

 構造物も手抜きが多いのか、技術面で問題があるのか、壊れやすい(ソウルのデパートの崩落、インドネシアのジャカルタで韓国の建設業社が請け負った高速道路の崩落)というイメージがあったにせよ、現代韓国の代表的電化製品の企業「サムスン」は日本の同じ業種の全企業を合わせたより売上高を延ばしているし、日本で仕事を失った技術担当者を雇用するまでになってもいて、韓国製品の悪口を言う時代ではなくなっている。ヒュンダイの自動車も今では上記のようなことは起こらないだろう。

 だから、本書を書評することにも、意見を披瀝することにも意味があるようには思えず、読むこと自体も途中でギブアップした。

 ただ一つ、「キリスト教徒が日本では総人口のたった1%という先進国としては稀有の国」という言葉だけは素通りできず、なにか勘違いをなさっているらしく思えるので、以下腹立ちまぎれに反論する。

1)韓国人にキリスト教徒が多いことを作者は自慢たらしく語っているが、そのこと自体が作者の対白人社会劣等意識を暗示している。

2)イギリスでは、「神は不在である」という本がベストセラーになったし、神の存在を否定する人が50%にものぼっている。先進各国では教会に足を運ぶ人が年々減っている。

3)アメリカでは、神の存在に疑問を抱かせぬよう、ダーウィンの「進化論、淘汰論」を学校で教えないことにしている。にも拘わらず、日曜日に教会に足を運ぶ人は年を追うごとに減っているだけでなく、教会の牧師が幼い子供に性的虐待をする例が跡を絶たない。

4)「信教の自由」という言葉はあっても、キリスト教では本人に判断力のない幼児時代に洗礼を受けさせてしまい、信教の自由はないも同然。(同じことはイスラム教にも言える)

5)キリスト教に帰依するのが高級だというイメージをお持ちのようだが、それは作者の思い込みに過ぎない。色んな会派があって互いにケチをつけあう姿は醜悪の一語である。同じことはイスラム教にも言える。キリスト教徒であることが先進性に繋がるなどは断じてあり得ない。

6)人間同士の諍いが殺し合いに発展するケースは稀ではないが、シリアスなケースのほとんどは宗教的な対立がベースにあり、つまりは「異教徒への迫害」といってよく、もっとひどいケースは同じ宗教の会派間の抗争、殺し合いである。


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