昭和史発掘 3/松本清張著

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昭和史

 「昭和史発掘 3」 松本清張著 文春文庫

 本書に記された歴史を知識としてもっている人はわずかだと思われるが、全編を通じて感ずるのは著者、松本清張氏のすさまじいばかりの気迫と執念である。

 たとえば、戦前、日本共産党が壊滅状態に陥った裏舞台に一人の男のスパイ活動があったことを微に入り細に渡って調べあげ、「スパイMの謀略」との見出しで書いているが、いまさらその事実を知っても、共産党員以外、ほとんどなんの感興ももよおさないだろう。 にも拘わらず、読み手としては、清張氏がどうしてこの問題をそれほど執拗に追いかけたのかという関心に引きずられてしまう。

 ただ、いまになって、当時、憲兵や警察に、左翼系の人間がすべてリストアップされ、しばしば牢獄に押し込められた事実を採り上げて、賠償、弁償を求める裁判が起こされているのは、個人的な意見ではあるが、韓国のおばさん連中の「慰安婦問題」と同じレベルにあると思っている。

 「スパイMの実像」に肉薄していく著者の心理を想いながら、この作家の作品にあまり親しんでいないことに悔いを覚えた。


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