楔形文字入門/杉勇著

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楔

「楔形文字入門」  杉勇(1904-1989)著
講談社学術文庫  2006年1月初版
同社より単行本として1968年に中央公論より刊行

 

 恐ろしいほど学術的な書籍。一般に膾炙するほどは売れなかっただろうと推察する。

 本書には古代の碑文などから知られた楔(くさび)形文字解読の、主としてヨーロッパ人による解読への苦労が書かれているが、以下には簡単に古代楔形文字の発生した地域と国名を挙げるに留めたい。

 ただ、楔形文字の特徴は母音形式で、日本語とよく似ており、縦に上から下へ、右から左に書かれていたのが、時代が下がるにつれ、横になり、左から右へと変化した。ヨーロッパ人が解読に苦労した理由の一つとして、彼らが子音言語を使っていて、母音言語を知らなかった、あるいは慣れていなかったという事情もあった。

 登場する言語のほとんどはローマ帝国以前の時代のもの。

 1.シュメール語

 古代メソポタミア文明の最も有名なシュカール人の言語。紀元前3000年頃の国際語。

 2.アッカド語

 古代人はシュメールとアッカドと並列的に呼んでいたので、今日ではバビロニア語、アッシリア語を総称してアッカド語といい、セム語系の派に属する。

3.ヒッタイト語

 エジプトのイク・エン・アテン王の都、現在のエル・アマルナで発見された、インド・ヨーロッパ語族に属する言語で、紀元前2000年から同1200年頃まで使われた。

4.ミタンニ語

 フルリ人が創った言語で、ドラヴィダ語のブラーフーイー語によく似ている。

5.ウラルトゥ語

 紀元前1000年から同700年。トルコのヴァン湖付近に居住していたウラルトゥ人の言語。

6.エラム語

 ペルシャ帝国の古都、スーサから発見。ダレイオス王やクセルクセス王の時代で、紀元前1400年以降

7.ウガリト語

 北シリアの古代都市、ウガリトの神殿で発見。紀元前1500年から同1400年。

8.古代ペルシャ語

 インド・ヨーロッパ語族に属するイラン語のなかで最古の言語。支配者であったアケメネス王朝の宮廷用語。共通して方言的に用いられた文字に、フェニキア文字、ヘブライ文字と同じようなアラム言語があった。


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