死国/坂東眞砂子著

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死国

「死国」 坂東真砂子(高知県生まれ)著
角川書店 1993年 単行本  1996年8月文庫化初版 ¥540

 

 恋愛小説とホラー小説が合体というテーマを四国のど真ん中に在る矢狗村の「神の谷」を舞台に描いたものだが、四国出身者は死ねば必ず「神の谷」に戻ってくるという設定で、そのうえに八十八箇所におよぶ、土地によっては過酷な遍路を強いられるという重苦しい内容を含めて描かれた作品。

 ホラーものに関心のない人にとって、内容は陰陰滅滅たるもので、この種の小説を仕上げるには相当のエネルギーを消耗するのではないかと想像した。

 本書は四国に伝わる古代の文献にベースして発想されたように思われるが、そこに四国を「死国」とする根拠も発想も生まれたのではないかと思われる。

 「闇に死者の意識が漂っている」とか、「スケッチを描いて、しばらくしてスケッチを見たら、描いた覚えのない絵がある」とか、こういう展開がホラーものの一つのパターンなのだろうが、そういうことが荒唐無稽としか思えない人には決して怖くは感じられないだろう。

 「球体はそれ自体がすでに究極のフォルム、合体は不可能」という表現は脳裏に深くインプットされた。


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