津山三十人殺し/筑波昭著

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「津山三十人殺し」 筑波昭著 新潮文庫

 

 戦前、日本人が犯した殺人で、一人が三十人を殺害したというのは例がない。史上空前の犯罪を元新聞記者がノンフィクション風に取材を重ねて描いた作品。

 心を奪われたのは大量殺人の実際ではなく、むかし田舎の村では他人の妻とセックスをする「夜這い行為」が日常的にあった事実である。夜這いを可能にしたのは、女の側もそれを受けいれる素地があったからだし、ほかに楽しみもなかったからであろう。

 泥くさい田舎の日常と、そういう環境のなかで不遇をかこち、最後には猟銃をふりまわして自殺していった若者の心境はいまひとつ不可解だった。

 ただ、このような悲惨な、ある意味で狂的な殺人行為が現実にあったことは確かなことで、大した理由もなく、あるいは自分勝手な理由で、殺人に至る、そういうケースが現代に多発するようになったことは皮肉に思えるが、歴史は繰り返されるのかも知れない。


前後の記事

現在はコメントを受け付けておりません。

サブコンテンツ