活字たんけん隊/椎名誠著

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書評:ためいき色のブックレビュー-活字

  「活字たんけん隊」 椎名誠(1944年生)

  副題:めざせ、面白本の大海

  2010年1月20日 岩波新書として初版 ¥760+税

 入手して判ったことは、本書は四部作になっていて、いずれも「活字離れ」という現代の風潮に抗すべく、本がいかに面白いか、いかに読者の想像力を豊かにしてくれるか、読まなければ一生知らずにいたであろう、ささいではあるが、「まさか」といいたくなるような現象や事実が地球上にも人間社会にもあることを実際の本を分野ごとに紹介しながら綴ったのではないかと推量した。推量したというのは、私は博物誌や文化史との名を冠せられた本の紹介をした「完結編」だけを読んだめである。

 驚くべきことは、新書版で219ページのなかに、数えたわけではないから確かなことは判らないが、200冊から300冊ほどの本が簡略に、かつ適切に紹介され、どの本にも魅力があり、読書を途中でやめられなくなってしまったことだ。なかには、私自身すでに読んだ本もあったが、もし可能なら、ここに出てくる未読の本を全部取り寄せて読みたくなった。

 この作家の著作は過去にかなりの数を読んでいるが、ドタバタで終始する本はさすがに勘弁してくれといいたくなったが、ほとんどは楽しく読ませてもらっている。とくに、この作家が海外に足を延ばし、必ずしも治安の良い土地でない、たとえば南米の南端の旅体験を綴ったもの、ロシアのツンドラを歩いた体験を綴ったものなど、ノンフィクションの好きな私にとって、好奇心を充分に満たしてくれた。

 なによりも、「文章は人格」であり、この作家の飾らない庶民感覚と謙虚な姿勢、独特のユーモアがこの人の著作を支えているように思われる。


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