深川恋物語/宇江佐真理著

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「深川恋物語」 宇江佐真理(1949年生)著
集英社文庫  2002年7月初文庫化

 

 この著者の他の作品は読んでいない。友人に進められて本書を手にしたが、本書が「読むに耐える書籍」だという友人の意思を感じてのことである。本書は吉川英治文学新人賞をとっている。

 北海道生まれの女性が江戸時代のドラマを描く以上、当時の社会事情、言葉、雰囲気など、相当に勉強しただろうことが察せられたが、達者な文、よく推敲された起承転結、ストーリーのテンポなどに触れるうち、亡くなった藤沢周平の作品を想起した。それほどよくできている。

 ただ、過去のことを小説としてまとめることには、背景などへの資料漁りは必要だが、自由裁量で書くことができることも事実、現実問題として、江戸の社会がこの本に出てくるようなきっちりしたものであったのかどうかは判らない。

 本書は6つの短編から成っているが、私は「凧、凧、揚がれ」が好きである。


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