炎の門/スティーヴン・ブレスフィールド著

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「炎の門」 スティーヴン・ブレスフィールド著
三宅真理訳 文春文庫

 

 紀元前480年、ローマがまだ台頭せず、ギリシャ中心のヘレニズム文化と古代オリエントが衝突する、そういう時代が背景。

 ペルシャのダレイオス王が200万の兵を率いてバルカン半島への攻略を開始したとき、ギリシャの都市国家、スパルタがたった300人で7日間も戦い抜いたあげく、玉砕する歴史を描いた小説。世に「テルモピュライの戦い」という名で伝わっている。

 「スパルタ教育」が厳しいものという認識はあるが、実際に男の子がどう育てられたか、どう兵士として教育されたか、この小説は戦いのすさまじさとは別に教えられることが多い。「死を恐れるな」という信念、「子供のころからの鍛錬は精神力におよぶ」という点、ある意味で、日本の武士道に通ずるものがあるような気もした。しかも、そうした精神教育がスパルタ全市内の家庭に徹底していた事実は驚嘆に値する。

 翻訳ものにつきものの味気なさを超えて、紀元前のギリシャを彷彿とさせる筆力はさすが。文字通り「炎」さながらの勢いで読破できる。


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