焚火オペラの夜だった/椎名誠著

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焚火オペラの夜だった

「焚火オペラの夜だった」 椎名誠(1944年生)著
2001年 文芸春秋より単行本
2004年1月 文芸春秋より文庫化初版  ¥448

 

 本書は週刊誌に「赤マント」とのタイトルで掲載されていた1999年7月から2000年5月までの分をまとめたもので、短編ばかり37編が網羅されている。

 どの小編にも作者らしい発想と感性が窺え、ときにユーモラスな幼児性も混じって、知らぬまに独特の表現の中に埋没している自分に気づく。要するに、癒されているのだ。

 本来、深刻な話であっても、さらりと触れる気味合は椎名誠ならではのキャラにベースした表現力によるものだが、それでも、読み手の脳裏には引っかかるものを置いていかれるといった不可思議さがある。

 基本的に、この作者の作品は国内外を歩いた体験に基づき、内容に虚偽やでっちあげがないのがいい。

 私は気楽に読書したくなると、この作者の著作を手にする。その意味では、本書にも裏切られなかったが、何かが残滓のようにあって、そこにこだわっている自分に納得もしている。

 ただ、書中にしきりに出てくるイラストは、いつもながら沢野ひとしの作品だが、正直いって目ざわりだった。というより、「赤マント」にはあっても悪くはないが、文庫本には邪魔な印象が強い。


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