父・金正日と私/五味洋治著

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「父・金正日と私」(金正男独占告白) 五味洋治(1958年生/東京新聞社記者)

  帯広告:インタビュー7時間、メール150通を費やした取材に基づいた世界的スクープ

  2012年1月20日 文藝春秋社初版 ¥1400+税

 

 この主人公はキムジョイルの第一子(長男)で、キムジョイルの国家主席としての地位を父親の死後に継承したのは第三子の正恩である。

 金正男はドミニカ製の偽造パスポートを浸かって来日した折りに、そのことがバレたため、上記写真の顔は日本人にも見慣れた顔になっている。

 また、中国滞在中の姿を日本のテレビにしばしば捉えられ、インタビューに応ずる態度は温和で、かつ知性を感じさせる。彼はスイスの学校への留学経験もあり、人柄と知性をが私の気に入るところとなっており、本書の入手に逡巡しなかった。

 金正男は1971年生まれで、子供が二人おり、一人は北京の学校、もう一人はマカオの学校に入れているという。北京での生活が長いため、当然ながら、市場開放後の中国社会が大幅に経済発展を遂げた過程、遂げつつある過程ともに目の当たりにし、北朝鮮政府がしきりに掲げる「強盛大国」は経済的なてこ入れなくしてはあり得ないとの認識を持っている。

 かつては、父親にもそのことを伝えたし、正恩にも「北朝鮮人民が豊かになるような政治を」と言っているし、願ってもいる。

 「社会主義に世襲は合わない」という考えは亡くなったキムジョイル自身がしばしば口に出していたことであったから、正恩の後継にはそれ以外に採用すべき適切な方策がなかったためであろう。

 深刻な情報統制が北朝鮮人らの情報への飢えを招き、渇望させている。ために、国境側に達することができれば、誰もがすぐネットカフェに飛び込む。

 中国は食料を北に提供しながら、一方で、地下資源を買いあさっている。さらに、北のインフラ整備その他に力を貸し、経済の向上に協力する姿勢を見せているが、これはいわば「6か国協議」とは別に「中朝ニ国間関係」を創造し、利用しようとの魂胆である。

 中国の次期国家主席といわれる習近平一派が金正男をガードしており、その理由は中国が考える北朝鮮の今後のあり方にをリードするには金正男のほうがふさわしいとの判断があるからだといわれる。

 最後の一文には真実味があり、しばらくは目が離せない。


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One Response to “父・金正日と私/五味洋治著”

  1. 北朝鮮の暴露本の中でも、これはすごいですね。
    驚きます。
    良い本を紹介してくださって、ありがとうございます。

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