痛快!恐竜学/平山廉著/小田隆画

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痛快!恐竜学
「痛快!恐竜学」
 平山廉(1956年生/帝京大学情報学部教授)著
 小田隆(1969年生/骨格復元図を担当)画
 2001年6月30日 集英社Int’lより単行本初版(A4版)
 ¥1700+税

 
 「恐竜は6千5百年前まで確実に地球上に存在しただけでなく、1億6千万年もの長期にわたり陸上を闊歩し、恐竜時代を築いていたことは紛れもない事実。その生存期間は人類のこれまでの歴史の30倍に及ぶ」という言葉から本書はスタートする。

 「現代の最大の動物がアフリカ象で、体重10トンに対し、最大級の竜脚類セイズモサウルス(ジュラ紀後期)、アルゼンチノサウルス(白亜紀中期)、マメンチサウルス(ジュラ紀後期)にいたっては、体長30~40メートル、体重は少なくとも50トン、研究者によっては100トンと推測する人もいる。」

 「恐竜ブームはアメリカからで、1877年から20年間に130種類の化石が発見され、化石群は大中小のサイズにおよんだ。大型化への進化は肉食系の恐竜への対抗上の必然。ちなみに、大型恐竜のほとんどは草食系」。

 「中国で発見される恐竜の化石が増えているが、陸の地層には海の地層のような時代測定のための指針がなく、年代測定が困難なケースが多い」。

 「現在まで発見されている恐竜は約500種で、100%爬虫類である。不思議なことは、恐竜化石が発見されると、同じ地域に必ず亀の化石も発見されること」。

 「恐竜とは陸生大型の爬虫類だけをいい、恐竜を学術用語で『DINOSAURIA』というが、これはギリシャ語で、「恐ろしいトカゲ」という意味。」

 「白亜紀末(6500万年前)の地球、メキシコのユカタン半島に巨大隕石が衝突したことは地層成分からも証明されるが、にも拘わらず、地上の生物、脊椎動物などの多くが生き延びている。このことは二酸化炭素の減少が気温の低下をまねき、恐竜の呼吸など生命維持装置に悪影響を与えたのではないかと考えられるが、この隕石衝突が恐竜の絶滅を招いたとするのは早計で、地球の環境変化が恐竜の死を徐々に起こさせたと考えるのが妥当。恐竜は二酸化炭素の濃い大気で呼吸が可能であり、地上の気温の変化が食料となる植物群にも変化を与え、恐竜が好んで口にした種類が減少したとも考えられる」。(定説に対する異論)。

 「地球の歴史は多様な生物の進化と絶滅の歴史であり、人類も例外ではない」。

 (人類はみずから生の母体である大自然を破壊し続けて文明を発達させてきた特殊な生物だが、人類は母体の自然を損なうことで、みずからの首を絞める結果となるだろうし、恐竜よりはるかに短期間にその存在を地上から消すだろう)。

 「恐竜化石ハンターらによる発掘、学者間の競争、命名などに混乱が生じたのは事実だが、多くの新しい化石が発見されたのも否定できない事実。恐竜の化石の発見については、日本は後進だが、最近になって日本にも恐竜の化石が存在することが判ってきた」

 「恐竜は省エネ型の巨大生物で、吊橋構造の体躯で脳は小さく、長い首と尾はヤジロべースタイルで、体躯のバランスをとっていた。また、当時の大気には二酸化炭素が多く、平均気温は現在より10度は高かった。歩行速度は人間の時速4キロに対し、2.5キロ、二足歩行の恐竜は体も小さく、時速6.4キロ、瞬間的には25キロでも走ることができた」。

 「1872年にベルギーの炭鉱の坑道地下300メートルにイグアノドンが31体発見され、かれらが群れで生活していたことを想像させた」

 本書は恐竜の絶滅後、哺乳類、鳥類の出現に繋がる過程にも触れ、始祖鳥にも触れつつ、鳥類こそが恐竜との血脈の繋がりを、最も的確に且つ蜜に、体内に残していることを示唆していることを強調している。

 また、このA4版サイズの本には、多くの恐竜が図解され、手引きとして有効であり、発掘に寄与した人物名も明記し、発見に至る過程の説明にも手を抜いていない。恐竜に興味のある人には悪くない一書だが、本書発刊後に同じ作者名のもと「新恐竜学」とのタイトルで再出版されているので、新版を入手するのが賢明かと思う。


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