白い道/吉村昭著

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白い道

白い道」 吉村昭著
2010年7月27日 新潮社より単行本初版  ¥1700+税

 著者は既にみまかった方だが、過去に雑誌、新聞などに書いたものを集め、一冊の単行本としたものが本書。

 内容は彼が書いた多くの作品に費やした苦労、遭遇した人物、風景、土地の特色などを紹介したものだが、作品が歴史小説であれ、戦史であれ、誠心誠意、関係者に遭い、関係先に出かけ、実際に起こったことがあれば、その部分を尊重する姿勢を貫いたという。

 つまり、歴史には史実として残っているものもあるが、それらが飛び石のような具合になっていることが多く、その間の欠落部分をおもしろおかしく書いてはいけないことを心に命じ、ありそうなこと、あり得ることでページを埋めることに徹した。

 著者によれば、江戸末期、薩長に宇和島藩が入って、明治維新を達成したものの、直後から宇和島は中央から即座に離れたという。理由は薩長とは日本の将来に関して意見が違いすぎたという。宇和島藩といえば、シーボルトの娘、稲を招聘、面倒をみた藩でもある。

 本人の死後に、出版社が寄せ集めて一冊の本に仕上げたため、内容は必ずしも一貫していないし、とりとめもなくザッパに感ずるところがあるのはやむを得ないのかも知れない。

 言わずもがなかも知れないが、吉村昭は間違いなく私が最も好きな作家である。


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