神の子どもたちはみな踊る/村上春樹著

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「神の子どもたちはみな踊る」 村上春樹著 新潮文庫刊

 

 前回の同著者の作品の評論に続き、二冊目に挑んでみた。

 全体的に翻訳ものに接している印象が拭えないのは、著者が翻訳そのものも仕事としてやっているからかも知れない。

 本書は「阪神大震災」を背景としつつ、七つのショートストーリーを織り込んで、独特の構成をデザインし、人間のもつ心の廃墟をえぐり出している。 読後の印象としては、すべてが凡人には思いつかないようなファンタジーの様相を呈している。

 構成にしろ、背景の設定にしろ、登場人物の会話のやりとりにしろ、ストーリーの進め方にしろ、著者の感性の若さ、新鮮さをうかがわせて充分だが、と同時に、非凡だが異質なものも感じさせる。私の感性からは遠いものがあるが、これは私の感性が平凡だからであろう。

 1949年生まれの男性がこの手の作品を書ける感性には脱帽。とはいえ、手許にはむかし手にしたものの、内容をすっかり忘れてしまった「ノルウェーの森」があるが、積極的にこれを読んでみようかという気分には、いまのところない。

 理由は単純。この著者の作品はどれをとっても(読んだ著作は僅かだが)、後々まで記憶に強く残る作品がないからだ。 相性の問題なのかも知れない。


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