自衛隊 vs. 北朝鮮/半田滋著

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「自衛隊 vs. 北朝鮮」  半田滋著
新潮新書 2003年8月初版

 
 有事の際、自衛隊が軍隊として有効な防衛力となり得るかどうかについて、素人の私でも、否定的な考えをもっていたが、本書はそういう危惧が正しいことを暗示するにとどまらず、政治的決断力の不足、外交の脆弱性、リスク管理に即時対応できない省庁間の厚い壁(縦割り行政による縄張り争い)、法の未整備、権限や基準の未設定についてまで言及している。

 集団的自衛権の行使が禁止されている国が、北朝鮮の暴発によるものであれ、米国の先制攻撃によるものであれ、国を挙げて戦時体制を即座につくりあげることの難しさは、たとえば、米軍の自衛隊基地の使用、傷病兵の収容、物資の輸送、後方支援、地方自治体との協議などなど、どのレベルまで可能なのかどうかすら決まったものがなく、そうした右往左往する状況のなかで万が一、北朝鮮からミサイルが日本国内の基地、原発、大都市などに落ちたと想像すると、長期間の平和に慣れてボケがきている国民がパニックに襲われる様も想像できる。

 現時点で、兵士の数で世界ナンバーワンは中国、次いで米国、三番目が北朝鮮で110万人だという。むろん、北朝鮮の所有する兵器が中国からの援助や支援があったとしても、兵器はロシア製のものが多く、現時点ではたいした質のものでないことも事実ではあるが。

 最大の問題は難民対応。ととえば、20万人を超える韓国人、北朝鮮人が難民となって日本に押し寄せ、なかに武装したテロリストが含まれている場合も考えられるが、これに適切に対応できるのか。武装していることが判明しない限り、自衛隊がまっとうな対応ができないことは明らかであり、20万人が単なる難民としても、この膨大な数を受け入れ可能だとは思えない。中国が一貫して北朝鮮をかばい立てするのは、偏に、この国に暴発さて欲しくないからであり、難民となって国境を接する中国に大量流入されては困るからだ。

 内容としては、およそ想定内の事項が大部分だが、昭和20年代の朝鮮半島南北の戦争で、355万人が死亡したという事実は初耳だった。むるん、その時の戦争では、北朝鮮側にはロシア、中国が後ろ盾になり、韓国はアメリカがバックアップし、一時は北側が南の半分以上を呑み込んだ事実があり、アメリカの上陸によって、ようやく押し返し、最終的に38度線での線引きで幕を下ろした戦争の特需で、日本が戦後の疲弊から逸早く脱却したというのも皮肉な史実である。


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One Response to “自衛隊 vs. 北朝鮮/半田滋著”

  1. hanachan-234 より:

    長期間の平和に慣れてボケがきている我が国民・・・・・・・
       それが 問題ですね。。。

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