裸/大道珠貴著

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書評:ためいき色のブックレビュー-裸


 「裸」 大道珠貴著 文春文庫刊(芥川受賞作)

 1966年生の女性作家がどういう内容の小説を書くのか、と同時に、いまどきどのような作品が芥川を受賞する作品なのかという一点に絞って、本書を手にした。

 正直いって、「人間くさいもの」「なまぐさいもの」の表現力がかつての女流作家のレベルと比較すると、少し物足りないものを覚える。総じて、若い女性の作品に衝撃的な印象を読者に与える何かが欠落していると感ずるのは年代の違いからだろうか。

 屈折したもの、どろどろしたもの、人生にはそういうものが避けられずにまとわりついてくるものだが、そういった煩わしいものへの扱いが軽く感ずる。小説は所詮フィクションであっても、読者の想像力を刺激し、飛躍させ、躍動させるものなのだから、全編の構成はもとより、場面場面におどろおどろしいインパクトがなくては、結局のところ、後世には残らないのではないか。

 

 芥川賞を手にしても、それだけで消えていく作家の多い業界、しかも活字は売れにくくなっている昨今、文章と構成に大道さんらしい「捻り」を加味できたら、もっと「灰汁」が出るようになって、彼女の個性がさらに前面に出、読者を増やすことができるのではないか。

 ちょっときつい書評になったが、悪気はない。

 


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