金融恐慌とユダヤ・キリスト教/島田裕巳著

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書評:ためいき色のブックレビュー-金融

「金融恐慌とユダヤ・キリスト教」 島田裕巳(1953年生/宗教学者)著
帯広告:神の怒りが「100年に1度の危機」を招いた
2009年12月20日 文春新書初版
¥830+税

 

 帯広告の裏面に記されている以下の疑問符のついた項目が本書の内容:

  *終末論が100年に1度の金融危機を引き起こしたのか?
  *「神の見えざる手」を唱えたアダム・スミスの真意とは?
  *ユダヤ教の家庭に育ったマルクスの思想とは?
  *ケインズはなぜ脱宗教を目指したのか?
  *イスラム教はなぜ利子を禁じるのか?
  *神なき資本主義・日本の行方とは?

 「FRBのグリーンスパンは2008年の7月の時点で『100年に1度の深刻な金融危機』と発言しているが、1929年に起こった大恐慌も震源地はアメリカである点は同じでも、1929年のアメリカの株価は80%以上の下落、工業生産が3分の1にまで落ち込み、失業率は25%を超えた。膨大な数の銀行が倒産し、1933年にはすべての銀行が業務停止した。こういう深刻な事態に比較すれば、今回の金融恐慌はたいしたことはない」

 上記に対し反論を試みるとすれば、現代ではアメリカ発の経済恐慌に巻き込まれている国の数が半端でないこと、アイスランド、ギリシャともに国という単位で倒産という事態に立ち至っていること(首長国連邦のドバイも一時は危機的な状態に陥った)、回復には相当の歳月が予想されることだろう。

 「一神教が広まった国では経済現象と宗教とは密接な関係があるものとして捉えられており、資本主義とプロテスタントとは互いに親和性が強い。労働こそが人間にとって神の定めた生活の自己目的であり、労働することが禁欲につながるのと同時に、労働することで富裕になることは悪いことではないという考え方が生まれ、資本主義精神の成立に結びつき、利潤の追求の合法化を生んだ。」

 「最終的には、資本の蓄積が資本主義精神を宗教世界から離脱させ、市場原理主義が誕生し、市場の自由放任主義に結果した。だから、恐慌状態が生まれると、原罪意識から自分たちの活動が神の怒りをかったのではないかといった終末論に結果する。こういう観念を日本人は理解していない」」

 (投機を軸とする資本主義はアメリカの創造であり、ギャンブルで金を稼ぐこととなんら変わりがない。そういう思想に対して神だの原罪意識などを持ち出す神経が私には解らない)。

 経済に関するあらゆるイデオロギー、あらゆる手段はユダヤ人による創作だと私は思っている。迫害され逃避離散する生活が何世紀にもわたって継続したため、かれらは逃げるとき、できるだけ軽く、かつ価値の高いものを身にする智恵と習慣とを必然的にもった。貨幣の創造はユダヤ人の発想だろうし、それが銀行を誕生させ、貨幣の貸借と利子という観念をもたらした。世界の宝石の流通は今でもユダヤ人がつくったシンジケートに牛耳られている。株式会社という組織単位も株式市場での株売買も、それを創造したのはユダヤ金融であり、遠距離における商売上の決済を可能にしたのも(信用状の作成を含め)、世界各地に離散したユダヤ人のもつネットワークだった。保険というものの概念を創造したのも、間違いなく、ユダヤ人であろう。

 つまり、共産主義も資本主義もユダヤ人によって産み落とされ、生成発展された。もし、歴史的にユダヤ人が国を失わず、迫害されることがなかったら、われわれの経済システムのあり方そのものが相当に異なった形となっていたのではなかろうか。

 「日本人は無宗教といいつつ、さまざまな宗教に由来する活動に従事している。無宗教こそが日本人の宗教」というが、日本人の宗教に関する無節操さ、寺参り、年始参りいずれもご利益主義でしかない。とはいえ、無宗教のどこが悪い?と言われても答えようがないのではないか?

 作者が言うように、確かにアメリカ人社会は欧州以上に宗教心が強く、ために中絶反対者も多いし、ダーウィンの進化論も学校で教えない。極めて科学的な思考をする面と非科学的な思考とが同居する社会である。一方、イギリスなどでは「神は不在」などという書籍がベストセラーになるなど、宗教離れが進んでいる。

 「イスラム教徒が、一部の食事(豚肉)を除いて禁欲的でなく、複数の女性を妻帯する社会習慣がある」のは事実だが、男が勝手に、かつ一方的につくったルールだからではないのか。イスラム教徒の男が女たちに肌や髪を露出することを禁じているのは、かつて中国人の男たちが女に纏足(てんそく)を強いた精神、男尊女卑という封建時代の精神と共通するものがある。

 正直いって、本書の内容には納得する部分とそうでない部分とが同居している。


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One Response to “金融恐慌とユダヤ・キリスト教/島田裕巳著”

  1. ブログ拝見させて頂きましたのでコメント記載させて頂きました!!
    サプリ☆マンもブログ頑張りますので一緒に頑張りましょう☆

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